上腕骨 Humerus

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J0014 (右上腕骨、上端部:前面断図)

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J0169 (右上腕骨:前方からの図)

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J0170 (右上腕骨:後方からの図)

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J0171 (右上腕骨と顆上突起(破格):前方からの図)

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J0172 (右上腕骨、上端部:上方からの図)

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J0173 (右上腕骨の下半分:上方から断面図)

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J0174 (右上腕骨、下端:下方からの図)

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J0175 (右上腕骨とその筋の起こる所と着く所:前方からの図)

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J0176 (右上腕骨と筋の起こる所と着く所:後方からの図)

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J0208 (上腕骨:前方からの図)

J0209 (尺骨:内側からの図)

J0210 (橈骨:前方からの図)

J0211 (手:掌側からの図)

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J0310 (右肩関節:前方からの図)

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J0311 (右肩関節:前方からの図)

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J0312 (右肩関節:後方からの図)

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J0313 (右肩関節:後方から前面断図)

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J0314 (右の肘関節:手の回外位に伸ばされ、前方からの図)

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J0315 (右肘関節:直角に曲がり、尺側からの図)

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J0316 (右の肘関節は直角に曲がり、橈側からの図)

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J0317 (右肘関節:後方からの図)

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J0318 (右の肘関節は伸ばされ、上腕骨の滑車の軸に対して垂直に切断:尺側からの図)

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J0367 (右肘関節:伸展、手の回内、手根背側方向からのX線像)

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J0369 (右の肘関節:手の回内時に伸ばされた橈尺方向からのX線像)

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J0371 (右肘関節、直角に曲がって、手の回外時、橈尺方向からのX線像)

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J0464 (右肩甲骨の筋:前面からの図)

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J0472 (右前腕の筋:手掌側からの図)

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J0474 (右前腕の筋(第3層):掌側図)

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J0475 (右前腕の筋(第4層):手掌側の図)

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J0479 (右前腕の筋(深層):背面図)

上腕骨の解剖学的構造と臨床的意義

上腕骨は、肩甲骨と尺骨・橈骨を連結する上肢の最も長い骨で、解剖学的・臨床的に重要な構造を持ちます (Gray, 2020)。典型的な長管状の骨で、上端は肩関節形成のため半球状に膨らみ、下端は肘関節形成のため前後に扁平です。全長は成人で約30cmです (Moore et al., 2018)。

1. 上端部(近位端)の解剖学的構造

1.1 上腕骨頭 (Caput humeri)

関節軟骨に覆われた半球状の関節面で、肩甲骨の関節窩と関節を形成します (Standring, 2021)。肩関節の外転角度は約180°に達し、上肢の広範な運動域を可能にします。臨床的には、反復性肩関節脱臼や変形性肩関節症の主要な関与部位となります (Neer, 1983)。

1.2 解剖頚 (Collum anatomicum)

上腕骨頭の基部周囲の浅いくびれで、関節包付着部に相当します (Netter, 2019)。この部位は骨折の好発部位であり、特に高齢者の転倒による骨折が多く見られます (Court-Brown et al., 2015)。解剖頚骨折は上腕骨頭への血液供給を障害し、無腐性壊死のリスクを高めます (Gerber et al., 1990)。

1.3 大結節と小結節 (Tuberculum majus et minus)

大結節には棘上筋・棘下筋・小円筋が付着し、小結節には肩甲下筋が付着します (Drake et al., 2020)。これらの筋群は回旋筋腱板(rotator cuff)を構成し、肩関節の安定性と運動に不可欠です (Burkhart et al., 1994)。結節間溝 (Sulcus intertubercularis) には上腕二頭筋長頭腱が通過し、この部位の病変は肩関節痛の原因となります (Nho et al., 2007)。臨床的には、結節部骨折は腱板損傷を伴うことが多く、適切な整復が機能回復に重要です (Flatow et al., 1992)。

1.4 外科頚 (Collum chirurgicum)

上腕骨頭部と骨幹部の境界に位置し、骨折の最も多い部位です (Court-Brown et al., 2015)。この部位での骨折は、腋窩神経や腋窩動脈の損傷リスクを伴います (Visser et al., 2001)。腋窩神経損傷は三角筋の機能不全と肩外側部の感覚障害を引き起こします (Robinson et al., 1992)。高齢者における外科頚骨折は、骨粗鬆症との関連が強く、保存的治療または手術的治療の適応を慎重に判断する必要があります (Handoll and Brorson, 2015)。

2. 上腕骨体 (Corpus humeri)の解剖学的構造

2.1 形態的特徴

上半分は円柱状、下半分は三角柱状を呈します (Patel et al., 2019)。骨幹部骨折は橈骨神経損傷を伴いやすく、手関節および手指の伸展障害(下垂手)を生じます (Shao et al., 2005)。橈骨神経麻痺の発生率は上腕骨骨幹部骨折の約10-18%と報告されています (Bishop and Ring, 2016)。

2.2 三角筋粗面 (Tuberositas deltoidea)

骨幹外側面中央部に位置し、三角筋が付着する隆起です (Agur and Dalley, 2017)。三角筋は肩関節の外転運動の主動作筋であり、この付着部の損傷は肩関節機能に重大な影響を及ぼします (Colachis et al., 1969)。外科的アプローチにおいて、この部位の剥離には注意が必要です (Gerwin et al., 1996)。

2.3 橈骨神経溝 (Sulcus nervi radialis)

骨幹後下方を斜めに走行する浅い溝で、橈骨神経と上腕深動脈が通過します (Bishop and Ring, 2016)。この解剖学的関係により、骨幹部中下1/3境界部での骨折は橈骨神経損傷の高リスク部位となります (Holstein and Lewis, 1963)。骨折時の神経損傷の多くは神経挫傷であり、保存的治療で回復することが多いですが、一部では神経剥離術や神経移植術が必要となります (Ekholm et al., 2008)。