足の骨 Ossa pedis
足の骨格は26個の骨から構成され、体重支持、歩行、バランスの維持という重要な機能を担っています(Gray, 2021)。解剖学的には、足骨は以下の3つの部分に分類されます:

J0269 (右足の第三中足骨と趾骨:足底面からの図)

J0270 (右足の骨、側面からの図)

J0271 (右足の骨:内側からの図)

J0272 (右足の骨、足の背面からの図)

J0273 (右足の骨:足底からの図)

J0274 (右足の骨:足の筋の起こる所と着く所を示す背面図)

J0275 (右足の骨:足筋の起こる所と着く所を示す足底側の図)

J0282 (新生児の右足の骨:足の上部からの図)

J0283 (10歳の女の子の右足の骨:足底側からの図)

J0386 (右足:足底屈、背足底方向からのX線像)

J0387 (右足:足底屈曲、背足底方向からのX線像)

J0388 (右足:微妙な足底屈、横臥位、内外側方向からのX線像)

J0389 (右足:わずかに下向き、横向きの位置、内外側方向からのX線像)
1. 足根骨(Ossa tarsi)
7個の骨で構成され、足の後方約半分を占めます(Standring, 2020)。足根骨は近位列と遠位列に分けられます:
- 近位列:距骨(talus)と踵骨(calcaneus)
- 距骨:下腿骨(脛骨・腓骨)と足根骨を連結し、足関節を形成します。体重を足に伝達する重要な役割を果たします(Moore et al., 2018)。
- 踵骨:足根骨中最大の骨で、立位時に体重の大部分を支えます。アキレス腱が付着する踵骨隆起は臨床的に重要です(Netter, 2019)。
- 遠位列:舟状骨(navicular)、立方骨(cuboid)、3個の楔状骨(cuneiform bones:内側・中間・外側)
- 舟状骨:内側縦足弓の頂点を形成し、足のアーチ構造維持に重要です(Standring, 2020)。舟状骨粗面は後脛骨筋腱の付着部位です。
- 立方骨:外側足柱の一部を形成し、長腓骨筋腱の溝があります。
- 楔状骨:中足骨との関節を形成し、足のアーチ構造を支持します(Gray, 2021)。
2. 中足骨(Ossa metatarsi)
5本の長管骨からなり、それぞれ基部(basis)、骨幹(corpus)、頭部(caput)に区分されます(Moore et al., 2018):
- 第1中足骨:最も太く短い骨で、体重伝達において中心的役割を果たします。第1中足骨頭部の種子骨(通常2個)は母趾球の形成に関与します(Netter, 2019)。
- 第2中足骨:最も長く、3つの楔状骨と強固に結合しているため、リスフラン関節脱臼骨折の際に骨折しやすい構造です(Myerson & Cerrato, 2008)。
- 第3〜5中足骨:外側足柱を形成します。第5中足骨基部の粗面は短腓骨筋腱の付着部位で、Jones骨折や裂離骨折の好発部位として臨床的に重要です(Polzer et al., 2012)。
3. 趾骨(Ossa digitorum pedis)
通常14個の骨から構成されます(Standring, 2020):
- 第2〜5趾:各趾に3つの趾骨(基節骨・中節骨・末節骨)があります。
- 第1趾(母趾):基節骨と末節骨の2つのみで、中節骨を欠きます。これは手の母指と同様の構造です(Moore et al., 2018)。
各趾骨は基部(basis)、骨幹(corpus)、頭部(caput)に区分されます。末節骨の末端部は趾骨粗面(tuberositas phalangis)となり、爪床を支持します。
足のアーチ構造
足根骨と中足骨は足のアーチ構造を形成し、荷重分散とクッション機能を提供します(Neumann, 2017):
- 内側縦足弓(Arcus pedis longitudinalis medialis):踵骨、距骨、舟状骨、3つの楔状骨、第1〜3中足骨で構成される最も高いアーチです。体重支持と推進力の発生に重要で、後脛骨筋、長母趾屈筋、足底筋膜により支持されます(Ker et al., 1987)。扁平足では このアーチが低下します。