大転子 Trochanter major
大転子は大腿骨近位部の重要な解剖学的構造であり、以下に詳細な特徴と臨床的意義を説明します(Gray and Carter, 2008; Standring, 2015):

J0003 (大人の新鮮な右大腿骨の近位部、前方からの図)

J0004 (大人の新鮮な右大腿骨の近位部:前方からの後半部の前頭断図)

J0228 (右の大腿骨:前方からの図)

J0229 (右の大腿骨:後方からの図)

J0230 (右大腿骨、内側からの図)

J0235 (右の大腿骨、近位端部:前方からの図)

J0236 (右大腿骨、近位端、第三転子(破格):後方からの図)

J0330 (右の股関節:前方からの図)

J0331 (右の股関節:後方ろからの図)

J0332 (右股関節:後方からの図)

J0334 (右の股関節:前面切断図、前方からの後部切断図)

J0493 (右骨盤の筋:外側から遠位の図)

J0498 (右大腿の筋:腹側図)

J0499 (右大腿の筋:腹側図)

J0500 (右殿部の筋:外側からの図)

J0503 (右大腿の筋:背面からの図)

J0506 (右大腿の筋:背面図)

J0963 (右大腿の神経:後方からの図)
解剖学的特徴
- 位置と形態:
- 大腿骨近位部の外側に位置する大きな四角形の骨突起(Moore et al., 2018)
- 大腿骨頚と骨幹の移行部の外側に突出している(Netter, 2018)
- 成人では幅約4-5cm、高さ約3-4cmの隆起として触知可能(Standring, 2015)
- 筋肉付着部位:
- 中殿筋(Gluteus medius):大転子の外側面上部に付着(Platzer, 2018)
- 小殿筋(Gluteus minimus):大転子の前面に付着(Platzer, 2018)
- 梨状筋(Piriformis):大転子上端の内側に付着(Moore et al., 2018)
- 大腿筋膜張筋(Tensor fasciae latae):腸脛靭帯を介して間接的に関連(Standring, 2015)
- 外閉鎖筋(Obturator externus):大転子窩に付着(Netter, 2018)
- 内閉鎖筋(Obturator internus):大転子内側面に付着(Platzer, 2018)
- 双子筋(Gemelli muscles):大転子内側面に付着(Moore et al., 2018)
機能的役割
- 力学的意義:
- 筋肉の力学的な効率を高めるレバーアームとして機能(Neumann, 2016)
- 中殿筋・小殿筋の作用点として大腿骨の外転運動を可能にする(Delp et al., 1999)
- 骨盤の安定性維持に重要(特に片脚立位時のTrendelenburg徴候の防止)(Gottschalk et al., 1989)
- 生体力学的特徴:
- 大転子は股関節の回転中心から外側に位置し、筋肉の作用点としての機械的優位性を提供(Neumann, 2016)
- 「転子(trochanter)」の語源はギリシャ語の「trochos(車輪)」に由来し、回転運動における役割を示唆(Standring, 2015)
臨床的意義
- 病態:
- 転子部骨折:高齢者に多く、転倒による外側からの衝撃で発生(Parker and Handoll, 2010)
- 大転子滑液包炎:反復的な摩擦により発症し、外側部の疼痛を引き起こす(Williams and Cohen, 2009)
- 中殿筋腱断裂:大転子部の疼痛と跛行(Trendelenburg歩行)を特徴とする(Davies et al., 2013)
- 診断的意義:
- 触診のランドマークとして使用される(Magee, 2014)
- 大転子の圧痛は股関節周囲の病態を示唆する重要な所見(Byrd, 2006)
- 股関節の外転筋力検査において重要な評価点(Magee, 2014)
大転子は股関節の機能と安定性において中心的役割を担っており、臨床的にも重要なランドマークとなる解剖学的構造です。特に歩行時の骨盤安定性維持と、効率的な筋力伝達の両面で不可欠な役割を果たしています(Gottschalk et al., 1989; Neumann, 2016)。
参考文献
書籍
論文
東洋医学との関連性