薄筋 Musculus gracilis

J0215 (右の寛骨:筋の起こる所と着く所を示す外側からの図)

J0216 (右の寛骨:筋の起こる所と着く所を示す前外側少し下方からの図)

J0249 (右の脛骨と腓骨、筋の起こる所および着く所:前方からの図)

J0495 (右大腿の筋:腹側からの図)

J0496 (右大腿の筋:腹側からの図)

J0497 (右大腿の筋:腹側からの図)

J0503 (右大腿の筋:背面からの図)

J0504 (右側の臀部の筋(第2層):背面図)

J0505 (右大腿の筋:背面図)

J0507 (右膝の筋:脛側からの図)

J0510 (右下腿の筋、前面からの図)

J0592 (右側の閉鎖動脈の末端分枝(男性の骨盤):腹側からの図)

J0598 (右大腿表層の動脈:腹面図)

J0628 (右大腿静脈、腹側からの図)

J0957 (右大腿の筋神経:正面からの図)

J0958 (右大腿の神経:前面からの図)
概要
薄筋は大腿内側表層に位置する細長い帯状の筋で、内転筋群に属する唯一の二関節筋(股関節と膝関節に作用)です(Moore et al., 2018; Gray, 2020)。その解剖学的特徴と臨床的意義から、整形外科、再建外科、スポーツ医学において重要な筋です。
解剖学的特徴
起始と停止
- 起始:恥骨結合の直下、恥骨下枝の外側面から起こり、恥骨下枝の下縁から内側面にかけて広がる(Netter, 2019; Standring, 2015)
- 走行:大腿内側を垂直に下降し、その全長にわたって細長い帯状の形態を保つ。大腿遠位部で細い腱に移行する
- 停止:脛骨内側面上部、脛骨粗面の後内側に付着。縫工筋腱および半腱様筋腱とともに鵞足(pes anserinus)を形成する(Bojsen-Møller and Dyhre-Poulsen, 2000)
形態と位置関係
- 形態:薄く平たい帯状の筋肉で、大腿内側筋群の中で最も表層に位置する
- 長さ:内転筋群の中で最も長い筋であり、恥骨から脛骨まで伸びる
- 幅:約2-3cmの細い帯状で、「gracilis(優美な、細い)」という名称はその形態に由来する
- 隣接関係:前方は縫工筋、後方は大内転筋と半腱様筋に隣接する。内側面は皮下組織と皮膚に接し、触診が容易(Agur and Dalley, 2017)
神経支配
- 主要神経:閉鎖神経前枝(L2-L4)により支配される
- 神経進入点:筋の近位1/3において、閉鎖神経前枝から分岐した枝が筋の深層面に進入する(Drake et al., 2019)
- 副閉鎖神経:稀に副閉鎖神経(存在する場合は約10-30%)からも分枝を受けることがある
血液供給
- 動脈供給:主に内側大腿回旋動脈の枝と閉鎖動脈の枝により栄養される(Williams et al., 2015)