腹横筋 Musculus transversus abdominis
腹横筋は、腹壁の最深層に位置する平坦な筋肉で、腹腔内の内臓を保護し安定させる重要な役割を果たしています。この筋肉は、腹壁全体を水平方向に走行し、腹部のコルセットとして機能します(Hodges and Richardson, 1997)。

J0217 (右の寛骨:筋の起こる所と着く所を示す内側からの図)

J0431 (右背側胸壁の筋:前面図)

J0432 (腹側胸壁の筋:背面図)

J0433 (横隔膜:腹腔からの図)

J0434 (横隔膜:腰部、腹腔からの図)

J0439 (右の内腹斜筋の腱が腹直筋鞘に移行する図)

J0440 (腹直筋:腹面図)

J0441 (弓状線より上部:腹壁の断面図)

J0442 (弓状線より尾側:腹壁を横断する図)

J0443 (腹筋(第3層):腹面図)

J0446 (男性右側の鼡径管(第3層):前方からの図)

J0447 (男性の右側の鼡径管の背側壁:背側図)

J0450 (腰部の筋(第1層)、後方からの図)

J0451 (腰部の筋(第2層):背面図)

J0452 (腰部の筋:横断図)

J0453 (広い背筋(第3層):背面図)

J0459 (短い背筋(第3層):背面図)

J0490 (腰部の筋:腹側図)

J0491 (右の鼡径部の筋膜:腹側からの図)

J0573 (腹部前壁の動脈:背面図)

J0590 (男性右側の閉鎖動脈と下腹壁動脈:左側からの図)

J0591 (男性右側の閉鎖動脈(破格))

J0953 (右側の肋間神経の経路:右側前方からの図)

J0956 (腰仙骨神経叢:前方からの図)

J0959 (右大腿の皮神経:前面からの図)
1. 解剖学的特徴
- 筋線維の方向:ほぼ水平方向(腹直筋に対して直角)に走行(Standring, 2021)
- 筋線維の方向:ほぼ水平方向(腹直筋に対して直角)に走行
- 厚さ:約0.5〜1cm(個人差あり、訓練により肥大可能)
- 位置関係:内腹斜筋の深層、腹膜の浅層に位置
2. 起始と停止
- 起始(Moore et al., 2018):
- 下位6本の肋骨の肋軟骨内面(第7〜12肋骨)
- 腰筋膜の深層(胸腰筋膜内層)
- 腸骨稜の内唇の前2/3
- 鼠径靱帯の外側1/3(腸骨鼠径靱帯部分)
- 停止:
3. 機能的役割
4. 神経支配と血液供給
- 神経支配(Drake et al., 2019):
- 血液供給:
5. 解剖学的関連構造
腹横筋の筋線維は腹壁の外側から内側に向かって走行し、半月線(腹直筋外縁に形成される弧状の線)を越えると腱膜に移行します(Netter, 2019)。この腱膜は腹直筋鞘の形成に関与します。弓状線(腹直筋鞘後葉が欠如し始める位置、通常は臍の下方約5cmに位置)より上方では、腹横筋の腱膜は腹直筋の後面を通過し、内腹斜筋の後葉と合流して腹直筋鞘後葉を形成します。弓状線以下では、すべての腹壁筋の腱膜が腹直筋の前面を通過します。
鼠径部では、腹横筋の最下部の筋線維と腱膜が鼠径管の形成に関与し、腹横筋筋膜が内鼠径輪を形成します(Loukas et al., 2018)。また、腹横筋の一部の筋線維は精巣挙筋(男性)または子宮円索(女性)に付着します。
6. 臨床的意義
- 臨床的意義(Akuthota et al., 2008; Hodges and Richardson, 1996):
7. スポーツ医学的側面
腹横筋は「深部横隔膜」とも呼ばれ、骨盤底筋群や横隔膜と協調して体幹の安定性に寄与します(Kibler et al., 2006)。この筋肉のトレーニングはコアスタビリティを向上させ、運動パフォーマンスの向上や腰痛予防に効果的です(McGill, 2010)。ドローイン(腹部を引き込む)エクササイズは腹横筋を特異的に活性化させるトレーニング方法として広く用いられています(Richardson et al., 2004)。