肋骨[1-12] Costae [I-XII]
肋骨は胸郭を構成する12対24本の湾曲した扁平骨で、呼吸機能の遂行と胸腔内臓器(心臓、肺、大血管)の保護において不可欠な役割を担っています(Gray and Lewis, 2020)。以下に解剖学的構造と臨床的意義を詳述します。

J0137 (各種の椎骨と椎骨の破格を集めて、個々のピースの形態学的価値を示します(Quainによる))

J0138 (右側の第7肋骨:内側からの図)

J0139 (右側の第8肋骨、背面側からの図)

J0140 (右側の第一および第二肋骨:上外側からの図)

J0141 (右側の第一および第二肋骨:上外側からの図)

J0142 (右側の11肋骨:下方からの図)

J0143 (右側の12肋骨:下方からの図)

J0292 (胸椎と肋骨、椎間円板:前方からの図)

J0293 (腰椎体と靭帯:後方からの図)

J0303 (右側の第10および第11肋骨と、関連する椎骨と靭帯)

J0304 (右側の肋骨と関連する椎骨、靱帯)

J0305 (右側の肋骨と関連する椎骨、および靱帯:背面および右側からの図)

J0306 (肋骨と関連する椎骨と靱帯:上方からの図)

J0307 (胸骨と肋骨と靱帯:前方からの図)

J0358 (胸椎と隣接する肋骨、腹背方向からのX線像)

J0359 (胸椎と隣接する肋骨、腹背方向からのX線像)

J0953 (右側の肋間神経の経路:右側前方からの図)

J0956 (腰仙骨神経叢:前方からの図)

J0975 (胸腔内の交感神経の右側境界線、前右側からの図)

J0976 (右交感神経の胸部網状組織、右前方からの図)
1. 解剖学的構成と基本構造
各肋骨は骨性部分(肋硬骨 Os costale)と軟骨性部分(肋軟骨 Cartilago costalis)から構成され、後方で第1~12胸椎と肋椎関節(Articulatio costovertebralis)を形成します(Standring, 2021)。肋骨の長さは第1肋骨から第7肋骨まで順次増加し、第8肋骨以降は短くなります。
2. 肋骨の分類
- **真肋(Costae verae、第1~7肋骨):**各々の肋軟骨が独立して胸骨に直接連結します。第1肋骨は最短かつ最も幅広く、強く湾曲しており、鎖骨下動静脈と腕神経叢の走行に重要な解剖学的関係を持ちます(Moore et al., 2018)。第1肋骨の上面には前斜角筋結節(Tuberculum musculi scaleni anterioris)があり、前斜角筋が付着します。
- **仮肋(Costae spuriae、第8~10肋骨):**各々の肋軟骨が互いに結合して肋骨弓(Arcus costalis)を形成し、間接的に胸骨に付着します。肋骨弓は腹部の視診・触診における重要な解剖学的指標です(Netter, 2019)。
- **浮遊肋(Costae fluctuantes、第11~12肋骨):**前端が自由で腹壁の筋層内に埋没します。短く、肋軟骨を欠き、肋骨結節も不明瞭です。外傷時の骨折リスクは比較的低いものの、後腹膜臓器(腎臓、脾臓)との解剖学的近接性から、これらの臓器損傷の可能性を考慮する必要があります(Drake et al., 2020)。
3. 典型的肋骨の構造的特徴(第3~9肋骨)
- **肋骨頭(Caput costae):**後内側に位置し、上下の関節面を持ちます。肋骨頭稜(Crista capitis costae)により二つの関節面に分かれ、上方の関節面は上位胸椎体の下肋骨窩と、下方の関節面は同位胸椎体の上肋骨窩と関節します(Standring, 2021)。
- **肋骨頚(Collum costae):**肋骨頭と肋骨結節を結ぶ細い部分で、長さは約2.5cm。上縁には肋骨頚上稜(Crista colli costae)があり、上肋横靱帯が付着します(Moore et al., 2018)。
- **肋骨結節(Tuberculum costae):**肋骨頚の外側端に位置し、関節面(対応する胸椎の横突起と肋横突関節を形成)と非関節面(肋横突靱帯が付着)に区分されます(Netter, 2019)。
- **肋骨角(Angulus costae):**肋骨結節の外側5~6cmに位置し、ここで肋骨の走行方向が急激に変化します。最長肋筋が付着し、解剖学的ランドマークとして胸部X線写真や身体診察で重要です(Bickley, 2020)。
- **肋骨体(Corpus costae):**肋骨の主要部分で、外面は凸、内面は凹です。内面下縁には肋骨溝(Sulcus costae)が走行し、ここに肋間神経、肋間動脈、肋間静脈がこの順で上から下に配列します(VAN: Vein-Artery-Nerve)(Gray and Lewis, 2020)。この解剖学的配置は胸腔穿刺などの臨床手技において極めて重要です。
4. 非定型肋骨の特徴
- **第1肋骨:**最短、最広、最も湾曲が強く、上面はほぼ水平。前斜角筋結節と中斜角筋結節があり、これらの間を鎖骨下動脈が通過します。鎖骨下静脈は前斜角筋結節の前方を走行します。胸郭出口症候群の理解に重要な解剖学的領域です(Moore et al., 2018)。
- **第2肋骨:**第1肋骨の約2倍の長さで、前鋸筋の一部が付着する前鋸筋粗面(Tuberositas musculi serrati anterioris)を有します。
- **第10肋骨:**通常1つの関節面のみを持ち、第10胸椎体とのみ関節します。
- **第11~12肋骨:**肋骨頭、肋骨頚、肋骨結節の区別が不明瞭で、1つの関節面のみを有し、肋骨溝も不明瞭です(Standring, 2021)。