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片山正輝

目次(V. 神経系)

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図511(頭蓋腔の位置)

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図524(交感神経幹上部・舌咽神経・迷走神経・副神経・舌下神経)

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図525(頚部の神経)

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図527(右側の迷走神経と交感神経の頚部、胸腔、および腹腔上部における分枝)

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図536(頚部の神経と血管(深層))

舌下神経は舌下神経核から起こり、10〜15本の根糸をもって延髄の前外側溝で表面に出る。これらの根糸は集まって、通常2本のかなり大きな束をなす。この2束は別々に、あるいは1つに合して硬膜の嚢を出て、1つの硬膜鞘に包まれ、舌下神経管を通り頭蓋の外に達する。

舌下神経管に入る箇所で、舌下神経は後頭静脈洞の静脈と結合している静脈冠Venenkranzに取り囲まれる。これを舌下神経管静脈網Rete canalis n. hypoglossiという。頭蓋底の外では、舌下神経はまず迷走神経の内側かつ後方に位置するが、節状神経節の部位では結合組織によって迷走神経と密着しながら、この神経の外側面に移行する。その後、茎突舌骨筋と顎二腹筋の後腹の内側面に沿って下方に走り、次いで下方に凸の緩やかな弓を描いて前方に進む(舌下神経弓Arcus hypoglossi)。顎舌骨筋に覆われ、舌骨舌筋の外面に接して通過し、舌の内部に放散する。

舌下神経は下行の際、内頚静脈および内頚動脈と次のような関係にある。すなわち、両血管の間を貫くか、あるいは後方から両血管の外側に達する。次いで外頚動脈の外面および顔面静脈の頚部の内面と交差し、両者の間を前方に通り抜ける。

舌下神経の下行部は迷走神経、第1から第3までの頚神経の前枝、および交感神経の上頚神経節と結合する。そのため、舌下神経はもともと運動性であったが、生理的作用の異なる線維を含むようになる。

a) 舌下神経と他の神経との結合

  1. 上頚神経節との交通枝Ramus communicans cum ganglio cervicali craniali

この枝は舌下神経管のすぐ外で舌下神経から出て、上頚神経節に達する。

  1. 迷走神経の節状神経節との交通枝Ramus communicans cum ganglio nodoso n. vagi

これを通じて迷走神経の線維も舌下神経に達する。

  1. 第1頚神経係蹄との交通枝Ramus communicans cum ansa cervicali prima

これは第1および第2頚神経の前枝の線維からなるかなり大きな枝である。この線維の一部は舌下神経の中を中枢方向に走り、その大部分が再び舌下神経を離れて前頭直筋と頭長筋に運動性の枝を与えるが、少部分は舌下神経内にとどまる。この結合枝の線維の半分以上は末梢方向に舌下神経の一部として進み、舌下神経下行枝Ramus descendens n. hypoglossiの形成に関与し、この枝を経てその線維をオトガイ舌骨筋にまで送る。

4. 迷走神経の舌枝Ramus lingualis n. vagiとの結合(1. 咽頭枝 Rami pharyngici ).

5. 第2頚神経係蹄との交通枝Rami communicantes cum ansa cervicali secunda.第2と第3頚神経の枝は上方に走って舌下神経に達し,また一部は3. の項で述べた枝に加わっており,かくして舌下神経下行枝Ramus descendens n. hypoglossiをなす.このいわゆる下行枝はそれゆえ舌下神経線維を含むのでなく,下行頚神経N. cervicalis descendensと結合して頚部の大血管の外面にある舌下神経係蹄Ansa nervi hypoglossiという1つのわなSchlingeをつくる.このわなは下方に凸を画き,しばしば叢状の配列を示している.

舌下神経係蹄の凸面からは胸骨舌骨筋・胸骨甲状筋および肩甲舌骨筋の下腹への運動性の神経が出る.肩甲舌骨筋の上腹には舌下神経下行枝じしんから出る枝が入る.しかし舌下神経下行枝には上行性の線維も含まれていて,この線維は末梢の方向に舌下神経のなかをすすんで,甲状舌骨筋およびオトガイ舌骨筋への枝としてふたたび舌下神経を去り,なおその一部は舌枝にさえ達している.それゆえ舌下神経下行枝は上行性の線維束と下行性のものとよりなっている.

変異:舌下禅経係蹄からおこる心臓神経 N. cardiacusがまれに見られるが,おそらくこれは迷走神経あるいは交感神経の心臓枝が舌下神経のなかを通つたものであろうと思われる.

6. 舌神経からの交通枝Rami communicantes

(4. 舌神経N. lingualis および図524(交感神経幹上部・舌咽神経・迷走神経・副神経・舌下神経)4 ).