長頭(上腕三頭筋の)Caput longum (Musculus triceps brachii)

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J0163 (右肩甲骨、筋の起こる所と着く所:背面からの図)

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J0164 (右肩甲骨、筋の起こる所と着く所:前面からの図)

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J0461 (右上腕の筋:橈側からの図)

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J0462 (右脇の下の筋:尾側図)

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J0465 (右肩関節の腹側の筋:掌側図)

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J0468 (右上腕の筋:背面図)

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J0469 (右上腕の筋:背面図)

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J0470 (右上腕の筋(深層):背面図)

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J0472 (右前腕の筋:手掌側からの図)

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J0576 (右上腕の動脈、手掌側からの図)

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J0577 (右上腕の動脈、背面からの図)

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J0933 (右肩甲骨の神経:後方からの図)

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J0934 (右の腕神経叢(鎖骨下部)が下から前に向かっている図)

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J0939 (右上腕の神経幹:内側からの図)

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J0940 (右上腕の筋神経:前方からの筋)

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J0947 (右上腕の筋神経:後方からの図)

上腕三頭筋の長頭は、上腕三頭筋を構成する3つの頭(長頭、外側頭、内側頭)の中で最大かつ最も内側に位置する筋頭です。唯一の二関節筋として肩関節と肘関節の両方に作用し、上肢の機能において重要な役割を果たします(Gray and Carter, 2021)。

解剖学的特徴

起始

肩甲骨の関節下結節(infraglenoid tubercle)から起始します。この起始部は肩甲骨外側縁の上部約2.5cmにわたって付着し、肩甲骨関節窩の直下に位置しています(Standring, 2020)。起始腱は扁平で強靭な構造を持ち、関節包と密接な関係にあります(Moore et al., 2022)。

走行

肩甲骨から起始した長頭は、小円筋と大円筋の間を通過し、上腕骨後面の外側頭と内側頭の間を下行します。走行中、筋腹は紡錘形を呈し、上腕骨の中央付近で最も太くなります。遠位に向かうにつれて徐々に腱性となり、上腕三頭筋の他の2頭(外側頭と内側頭)の腱と合流します(Palastanga and Soames, 2019)。

停止

3つの頭が合流して形成された共通腱(上腕三頭筋腱)は、尺骨の肘頭(olecranon process)の後面および上面に停止します。この腱は幅広く扁平で、前腕筋膜とも連続しています(Moore et al., 2022)。停止部の一部の線維は肘関節包に付着し、肘関節筋(関節包筋)として関節包の緊張を感知する役割を果たします(Williams et al., 2021)。

神経支配

橈骨神経(radial nerve, C6-C8)の直接分枝によって支配されます。橈骨神経は腋窩で上腕三頭筋長頭への枝を出し、さらに橈骨神経溝を通過する際に外側頭と内側頭への枝を分岐します(Tubbs et al., 2019)。神経支配の高位は個体差がありますが、通常C7の神経根からの寄与が最も大きいとされています(Mackinnon and Novak, 2020)。

血液供給

主に上腕深動脈(deep brachial artery)と後上腕回旋動脈(posterior circumflex humeral artery)からの分枝によって栄養されます。上腕深動脈は橈骨神経とともに橈骨神経溝を走行し、上腕三頭筋の全ての頭に血液を供給します。また、上腕動脈からの筋枝も副次的な血液供給源となります(Netter, 2018)。

構造的特徴

長頭の筋線維は主に羽状配列(pennate arrangement)を示し、腱に対して斜めに走行します。この構造により、筋の生理学的断面積が増大し、強力な収縮力を発揮することが可能となります。筋腹の長さは平均約18-20cm、最大幅は約3-4cmです(Standring, 2020)。

機能

肘関節への作用

長頭の主要な機能は肘関節の伸展です。特に抵抗に対する強力な伸展動作において重要な役割を果たします。上腕三頭筋全体として、肘関節伸展の約70-80%の力を担っており、その中でも長頭は最大の筋量を持つため、最も大きな貢献をしています(Neumann, 2017)。

肩関節への作用