膝蓋靭帯 Ligamentum patellae (Patellar ligament)
膝蓋靱帯は膝関節の伸展機構において中心的な役割を果たす強靱な線維性組織であり、膝蓋骨と脛骨を連結する重要な解剖学的構造です。本項では、その詳細な解剖学的特徴と臨床的意義について述べます。

J0247 (右の脛骨と腓骨:上方からの図)

J0342 (右膝関節:大腿骨の外側顆を通る矢状断、側面からの正中矢状面)

J0343 (右の膝関節:側面からの図)

J0495 (右大腿の筋:腹側からの図)

J0496 (右大腿の筋:腹側からの図)

J0497 (右大腿の筋:腹側からの図)

J0498 (右大腿の筋:腹側図)

J0499 (右大腿の筋:腹側図)

J0507 (右膝の筋:脛側からの図)

J0510 (右下腿の筋、前面からの図)

J0511 (右下腿の筋(第2層):前方からの図)
解剖学的特徴
位置と走行
膝蓋靱帯は膝蓋骨の下縁(尖部)から起始し、脛骨粗面に停止する強靱な扁平帯状の線維性組織です(Standring, 2021)。膝関節の前面を走行し、大腿四頭筋腱の直接的な延長部分として機能します(Gray, 2020)。解剖学的には、膝蓋靱帯と大腿四頭筋腱は連続した一つの伸展機構を形成しており、膝蓋骨はこの機構に介在する種子骨として位置づけられます(Netter, 2018)。
形態計測
- 長さ:約4.5〜8cm(平均約5〜6cm)で、個人差や測定方法により変動します(Moore et al., 2018)。
- 幅:近位部で約3cm、遠位部で約2cmと、遠位に向かって徐々に狭小化します(Untaroiu et al., 2015)。
- 厚さ:中央部で約0.5〜0.7cmで、膝関節の屈曲角度により変化します(Flandry and Hommel, 2011)。
- 断面積:平均約100〜150mm²で、機械的強度に直接関与します(Johnson et al., 2008)。
組織構造
組織学的には、膝蓋靱帯は密な規則的配列の膠原線維束(主にI型コラーゲン)からなり、線維芽細胞と少量の弾性線維を含みます(Benjamin et al., 2006)。膠原線維は縦走方向に配列し、機械的張力に対する高い抵抗性を提供します。靱帯内部には豊富な血管網が存在し、主に膝蓋下脂肪体からの血管により栄養されます(Dragoo et al., 2012)。神経支配は膝神経(大腿神経の枝)および伏在神経から受け、固有感覚受容器(ゴルジ腱器官、ルフィニ終末、パチニ小体)が分布しています(Dye, 2005)。
解剖学的関係
- 前面:皮下組織に直接接し、膝蓋前滑液包(皮下膝蓋前包)が位置します(LaPrade et al., 2014)。
- 深部:膝蓋下脂肪体(Hoffa脂肪体)によって関節腔から隔てられており、この脂肪体は膝屈伸時のクッション機能を果たします(Dragoo et al., 2012)。
- 両側縁:内側および外側膝蓋支帯と連続し、膝蓋骨の側方安定性に寄与します(Amis et al., 2003)。
- 深層:膝蓋下深滑液包が靱帯と脛骨の間に介在し、摩擦を軽減します(Standring, 2021)。
付着部の解剖
膝蓋骨付着部では、靱帯線維は膝蓋骨の軟骨下骨に直接移行し、線維軟骨層を介して付着します(Benjamin et al., 2006)。脛骨粗面付着部は、enthesis(付着部)として知られる特殊な組織構造を形成し、以下の4層構造を呈します: