恥骨筋 Musculus pectineus

J0215 (右の寛骨:筋の起こる所と着く所を示す外側からの図)

J0216 (右の寛骨:筋の起こる所と着く所を示す前外側少し下方からの図)

J0217 (右の寛骨:筋の起こる所と着く所を示す内側からの図)

J0237 (右大腿骨、近位端、筋の起こる所と着く所:後内側からの図)

J0240 (右大腿骨と筋の起こる所と着く所:後方からの図)

J0489 (右側の鼡径部の筋を鼡径靱帯の直下で切断した図)

J0495 (右大腿の筋:腹側からの図)

J0496 (右大腿の筋:腹側からの図)

J0497 (右大腿の筋:腹側からの図)

J0592 (右側の閉鎖動脈の末端分枝(男性の骨盤):腹側からの図)

J0599 (右大腿深層部の動脈:前面からの図)

J0628 (右大腿静脈、腹側からの図)

J0955 (右側の腰仙骨神経叢:図解)

J0957 (右大腿の筋神経:正面からの図)

J0958 (右大腿の神経:前面からの図)
概要
恥骨筋は、大腿の内転筋群に属する扁平な四辺形の筋であり、解剖学的には内転筋群と腸腰筋群の移行部に位置する特異な筋です。発生学的には腸腰筋群と同じ原基から発生しながら、機能的には内転筋群として働く点が特徴的です(Bardeen, 1907; Kumaki, 2017; Gray, 2020)。
解剖学的特徴
起始と停止
- 起始:恥骨結節間の恥骨上枝(恥骨櫛から閉鎖稜の間の面)、恥骨櫛および恥骨櫛前面の腱膜から起始します。起始部は約2-3cmの幅を持ち、恥骨櫛に沿って水平方向に広がります(Standring, 2021)
- 停止:大腿骨の恥骨筋線(小転子から内側唇に向かって斜め下方に伸びる隆起)に停止します。停止部は起始部より狭く、約1-2cmの範囲に集中します(Netter, 2019)
- 筋の走行:恥骨から外下方に向かって斜めに走行し、大腿骨近位部の後内側面に至ります。筋線維の方向は約45度の角度で走行します(Moore et al., 2018)
形態学的特徴
- 形状:近位部が広く、遠位部が狭い扁平な四辺形または三角形状を呈します。筋の厚さは約0.5-1.0cmで、比較的薄い筋です(Moore et al., 2018)
- 筋線維の配列:筋線維は平行に配列し、羽状筋ではなく紡錘状筋に分類されます(Neumann, 2010)
- 筋の長さ:平均的な成人で約8-10cmの長さを持ち、個人差や性差が認められます(Agur and Dalley, 2017)
解剖学的変異
- 層構造の分化:発生学的には腸腰筋群と同じ原基から発生し、深層と浅層の2部に分かれることが多く見られます(約60-70%の頻度)(Bardeen, 1907; Kumaki, 2017)
- 深層部:主に大腿神経支配を受け、腸腰筋群との発生学的関連が強く、機能的にも股関節屈曲に関与します(Neumann, 2010)
- 浅層部:閉鎖神経支配の可能性があり、他の内転筋群との交通があります。この層は内転機能により強く関与します(Anloague and Huijbregts, 2009)
- 近隣筋との筋束交換:長内転筋、短内転筋、内側広筋との筋束交換や癒合が20-30%の頻度で認められます。特に長内転筋との癒合が最も頻度が高く(約25%)、これは両筋の機能的協調性を反映しています(Agur and Dalley, 2017)
- 欠損例:極めて稀ですが、恥骨筋の完全欠損や著しい低形成が報告されています(頻度は1%未満)(Standring, 2021)
神経支配