肘関節

肘関節は、上腕骨と橈骨、尺骨の3つの骨の間に生じた複合関節であり、肘の屈曲と伸展を担っています。したがって、この関節は一軸性の蝶番関節に分類されます。腕尺関節は、上腕骨の滑車と尺骨の滑車切痕の間にあり、上頭尺関節は上腕骨小頭と橈骨頭の間の腕橈切痕との間にあります。これらの関節は共通の関節包に覆われています。ただし、後者は前腕の回転に関係しているため、前2つとは別に記載されることが一般的です。また、上腕骨の内側と外側上顆は関節包で覆われていません。関節包の内側と外側は、それぞれ内側側副靭帯と外側側副靭帯によって補強されています。橈骨輪状靭帯は、関節包の内面が肥厚した幅約1cmの靭帯で、尺骨の橈骨切痕の前縁から始まり、橈骨の関節環状面を輪状に取り囲んだ後、再び尺骨の橈骨切痕の後縁につながります。この靭帯の関節腔に面した部分は軟骨性であり、尺骨の橈骨切痕とともに上橈尺関節の関節窩を形成します。肘関節の屈曲と伸展の運動は腕尺関節によって行われます。しかし、上腕骨滑車の内側部の直径が外側部よりもやや大きいため、肘を伸ばすと、尺骨の長軸は上腕骨の長軸よりも外方に約10~20°傾きます。この角度をキャリング角と呼びます。しかし、肘を曲げると両骨の長軸は重なり合います。

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J0314 (右の肘関節:手の回外位に伸ばされ、前方からの図)

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J0315 (右肘関節:直角に曲がり、尺側からの図)

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J0316 (右の肘関節は直角に曲がり、橈側からの図)

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J0317 (右肘関節:後方からの図)

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J0318 (右の肘関節は伸ばされ、上腕骨の滑車の軸に対して垂直に切断:尺側からの図)

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J0366 (右肘関節:伸展、手の回内、手根背側方向からのX線像)

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J0367 (右肘関節:伸展、手の回内、手根背側方向からのX線像)

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J0368 (右肘関節:手の回内時に伸展、橈尺方向からのX線像)

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J0369 (右の肘関節:手の回内時に伸ばされた橈尺方向からのX線像)