仙骨 Os sacrum [Vertebrae sacrales I-V]

J0130 (仙骨:前面および下方からの図)

J0131 (仙骨:後上方からの図)

J0132 (仙骨:上方からの図)

J0133 (仙骨の二対の仙骨孔を通るレベルでの断面図)

J0134 (仙骨と尾骨:右側からの図)

J0153 (新生児の環椎:上方からの図)
J0154 (新生児の軸椎:前方からの図)
J0155 (新生児の中部胸椎:上方からの図)
J0156 (新生児の第1仙椎:上方からの図)

J0158 (8ヶ月胎児の仙骨と尾骨:前方からの図)

J0294 (仙骨と尾骨の間の靱帯:後ろからの図)

J0327 (右側の仙腸関節:前頭断、前面からの後半部分の図)

J0459 (短い背筋(第3層):背面図)

J0492 (右側の骨盤の筋:内側からの図)

J0801 (男性の肛門挙筋:上面からの図)

J0802 (男性の肛門挙筋:左側からの図)

J0803 (男性の右側肛門挙筋と尿生殖三角:後上方からの図)

J0827 (脊椎管内の被鞘と下部脊髄端、背面からの図)
概要
仙骨は脊柱の下部に位置する三角形の骨で、第1から第5仙椎(S1-S5)が成人期に癒合して形成される単一の骨構造です。骨盤の後壁を構成し、脊柱と骨盤を連結する解剖学的・生体力学的に極めて重要な構造物です(Drake et al., 2020; Standring, 2021)。
解剖学的特徴
全体的形態
- 仙骨は上部が広く下部が狭い逆三角形を呈し、底部は上方に、尖部は下方に位置します。前面(骨盤面)は前方に凹、後面は後方に凸の弯曲を持ち、これは胎児期の前弯を反映しています(Moore et al., 2018)。
- 成人の仙骨は通常5個の仙椎が癒合したものですが、個体差があり、4個または6個の仙椎から形成される変異も存在します(Standring, 2021)。癒合は思春期後期から開始し、20代後半までに完了します。
仙骨底(上端)
- 仙骨底は第1仙椎の上面で、中央に楕円形の仙骨椎体上面があり、第5腰椎と椎間板を介して連結します。
- 前方中央部には岬角(promontorium)と呼ばれる前方への突出部があり、産科学的に骨盤入口の後方境界点として重要な指標となります(Cunningham et al., 2018)。真結合線(conjugata vera)の測定に用いられ、分娩経路の評価に不可欠です。
- 両側には耳状面の上方に位置する翼状の仙骨翼(alae sacrales)があり、第5腰椎の横突起と連結します。
- 後方には三角形の仙骨管開口部があり、脊柱管から連続します。開口部の両側には上関節突起が突出し、第5腰椎の下関節突起と腰仙関節を形成します(Drake et al., 2020)。
前面(骨盤面)
- 前面は滑らかな凹面を呈し、4本の横走する隆起線(癒合した椎間板の痕跡)により5つの仙椎体の領域に区分されます。
- 各横線の両端には前仙骨孔(foramina sacralia anteriora)が片側4個ずつ、計8個開口しており、仙骨神経前枝(S1-S4)と前仙骨静脈が通過します(Netter, 2019)。
- 前仙骨孔は後仙骨孔より大きく、産科や婦人科手術の際の解剖学的指標となります。
後面(背側面)
- 後面は粗面で凸面を呈し、3本の縦走する稜線が特徴的です。
- 正中仙骨稜(crista sacralis mediana):正中線上に位置し、第1-4仙椎の癒合した棘突起に相当します。通常4個の結節として認められます。