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片山正輝

目次(V. 神経系)

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図511(頭蓋腔の位置)

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図514(上顎神経の分枝)

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図515(上顎神経と翼口蓋神経節)

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図516(翼口蓋神経節の根と枝)

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図517(**下顎神経の分枝:**外側から描写。また、顔面に分布する眼神経と上顎神経の枝も示す)

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図518(耳神経節とその結合(内側面からの描写))

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図520(顔面神経の骨管内走行とその結合関係を外側から剖出した図)

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図521(頭部表層の神経 I)

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図522(頭部表層の神経 II)

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図523(側頭骨錐体内における顔面神経と内耳神経の走行および結合関係)

顔面神経は顔面神経核から発し、橋腕の下縁で表面に現れる。顔面神経と内耳神経の出口の間で中間神経N. intermedius(図417(脳底の図))が現れ、これが顔面神経に加わる。

顔面神経、中間神経、および内耳神経は脳から出た後、外側前方に向かい、脳膜の延長に包まれて内耳道に入る(図511(頭蓋腔の位置)図523(側頭骨錐体内における顔面神経と内耳神経の走行および結合関係))。この際、顔面神経は中間神経と共に内耳神経の前内側面にある溝の中に位置する。内耳道の底で顔面神経は顔面神経管に入り、そこを通って前外側方向に走行し、顔面神経管裂孔に達する。ここで顔面神経膝Geniculum n. facialisを形成してほぼ直角に曲がり、外側後方に走る。この部分は外側半規管突隆と前庭窓の間に位置する(図515(上顎神経と翼口蓋神経節))。次に弓を描いて下方に曲がり、中耳の後壁の後方1~2mmの所を下行し、茎乳突孔を通って頭蓋の外に出る。その後直ちに耳下腺の内部に入り、外耳道の下部で顎二腹筋の後腹と外頸動脈の外側を走行する。耳下腺内部で2本の主要な枝に分かれ、これらがさらに枝分かれしたり結合したりして耳下腺神経叢Plexus parotidicusを形成する(図522(頭部表層の神経 II))。最終的に、その終枝が耳下腺の前縁から扇状に広がり、顔面の諸筋に分布する。

顔面神経膝には膝神経節Ganglion geniculi(図520(顔面神経の骨管内走行とその結合関係を外側から剖出した図))があり、脊髄神経節と後根の関係と同様に、中間神経がこの神経節に入る(図523(側頭骨錐体内における顔面神経と内耳神経の走行および結合関係))。

味覚線維を導く中間神経を除くと、顔面神経は主に運動性の神経であり、頭蓋冠・外耳・顔面(咀嚼筋を除く)のすべての筋、頬筋、アブミ骨筋、茎突舌骨筋、顎二腹筋の後腹に分布する。その運動性線維のうち特筆すべきは、唾液腺(耳下腺を除く)への分泌線維であり、これは三叉神経を介して(三叉神経の項参照)目的の唾液腺に達する。顔面神経には顔面神経管を通過する際にすでに知覚性の線維が加わる。これは三叉神経から出て大浅錐体神経を通ってくる。さらに多くの知覚線維が顔面における終枝の部分で混入する。

a) 顔面神経は内耳孔Porus acusticus internusに入ってから茎乳突孔から出るまでに、以下の枝や結合を持つ:

  1. 大浅錐体神経N. petrosus superficialis major(図514(上顎神経の分枝)図515(上顎神経と翼口蓋神経節)図520(顔面神経の骨管内走行とその結合関係を外側から剖出した図))。これは膝神経節から出て翼口蓋神経節に達する。翼口蓋神経節 Ganglion pterygopalatinum および下記を参照。
  2. 鼓室神経叢との交通枝Ramus communicans cum plexu tympanico。これは膝神経節あるいは大浅錐体神経の初部から出て鼓室神経叢に至る(図515(上顎神経と翼口蓋神経節))。
  3. アブミ骨筋神経N. stapedius。これは顔面神経の下行部から発してアブミ骨筋を支配する。
  4. 鼓索神経Chorda tympani(図518(耳神経節とその結合(内側面からの描写))図520(顔面神経の骨管内走行とその結合関係を外側から剖出した図))。これは顔面神経管の下部で背方に向かって開いた鋭角をなして顔面神経の幹から分かれ、鼓索神経小管を通って鼓室に入る。その粘膜に包まれてキヌタ骨の長脚とツチ骨柄の間を通り、錐体鼓室裂に達する。ここを通って頭蓋底の外に出て前下方に走り、鋭角をなして舌神経と合流する。

鼓索神経は耳神経節の近くを通過する際、一つの神経叢(神経細胞を含む)によってこの神経節と結合している。鼓索神経の線維を中枢側にたどると、その大部分が顔面神経の中心部zentraler Teilに移行する。しかし、多くの例では鼓索神経の線維の一部が顔面神経の中をさらに末梢側に進む。

b) 顔面神経は茎乳突孔を出て耳下腺に入るまでに、次の枝を出す:

  1. 後耳介神経N. retroauricularis(図520(顔面神経の骨管内走行とその結合関係を外側から剖出した図)図522(頭部表層の神経 II))。この神経は茎乳突孔のすぐそばで幹から分かれ、後上方に向かい、乳様突起の前面を上行する。そして項耳筋、側頭頭頂筋の頭頂部後部、耳介横筋、耳介斜筋、および対珠筋に運動性の線維を与え、また後頭枝Ramus occipitalisを後頭筋に送る。上述の諸筋に至る途中で、後耳介神経は頸神経からの知覚枝(大耳介神経と小後頭神経の)の細枝、および迷走神経の耳介枝と結合する。
  2. 二腹筋枝R. biventricus(図520(顔面神経の骨管内走行とその結合関係を外側から剖出した図)図522(頭部表層の神経 II) )は後耳介神経のすぐ下で幹から分かれ、顎二腹筋の後腹に達する。この神経は茎突舌骨筋に1枝を送る(茎突舌骨筋枝Ramus stylohyoideus)。二腹筋枝からは多くの場合、舌咽神経との交通枝Ramus communicans cum n. glossopharyngicoが出ている。

c) 耳下腺の内部で顔面神経は2本の主な枝に分かれる。それは1本の上枝と1本の下枝である。この両主枝が繰り返し枝分かれして多数の枝となり、これらの枝は幾重にも互いに結合して耳下腺神経叢Plexus parotidicusを耳下腺の内部に形成する。耳下腺の縁から顔面神経の顔面に分布する多くの枝が放射状に出ている。また、耳介側頭神経の顔面神経との交通枝は深部から出て耳下腺神経叢に入る(図522(頭部表層の神経 II) )。

顔面に分布する顔面神経の枝(図521(頭部表層の神経 I)図522(頭部表層の神経 II))は以下の通りである:

  1. 側頭前頭枝Rami temporofrontales:通常3本あり、頬骨弓を越えて上方かつ前方に走行する。 • 後方枝:側頭頭頂筋の頭頂部前方、側頭耳筋、小耳輪筋、耳珠筋に分布。 • 中央枝:前頭筋に分布。 • 前方枝:眼輪筋上部と眉毛挙筋に分布。
  2. 頬骨枝Rami zygomatici(3〜4本):眼輪筋の下外側部と大頬骨筋に分布する。

図521(頭部表層の神経 I) では、標本の耳下腺を取り除き、眼角筋と広頚筋の一部を除去している。

  1. 頬筋枝Rami buccales(3〜4本):咬筋の中央部を越えて走り、眼角筋、眼窩下筋、犬歯筋を支配し、さらに鼻筋全体、頬筋、口輪筋を支配する。
  2. 下顎縁枝Ramus marginalis mandibulae:下顎縁に沿って進みオトガイ部に達し、笑筋、オトガイ三角筋、下唇方形筋、オトガイ筋を支配する。また、この枝は頬筋枝および頚枝と結合している。
  3. 頚枝Ramus colli:広頚筋に覆われ、下顎角の後方を下前方に走る。第3頚神経から発する知覚性の頚横神経N. cutaneus colliと結合し、広頚筋にのみ分布する。

Fujita(Morph. Jahrb., 73. Bd., 1934)は、詳細な解剖標本をもとに、上述とは異なる顔面神経の枝の分類を提案している。Fujitaの所見によると、これらの枝の走行と分岐パターンは非常に多様で、同一個体の左右でさえ異なる。全ての枝が合わさって1つの網目構造を形成している。知覚神経との結合は、大・小後頭神経、大耳介神経、舌咽神経(常に見られるとは限らない)、耳介側頭神経、眼窩下神経、頬神経、オトガイ神経、頚横神経、頬骨顔面神経、頬骨側頭神経(多くの場合存在する)との間に見られる。一方、前頭神経の内側枝と外側枝、滑車上神経、滑車下神経、外鼻枝との間には結合が存在しない。また、動脈と交差する際、顔面神経の枝のほとんどが動脈周囲の交感神経叢と結合している。

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[図520] 顔面神経の骨管内走行とその結合関係を外側から剖出した図 右側(Hirschfeld および Leveilléによる)(9/10)

側頭骨の乳突部と錐体部の外側部分をほぼ垂直に切断して除去し、顔面神経管を全長にわたって開放している。鼓室輪と鼓膜の一部、および翼突管の内側壁も残存させている。

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[図521]頭部表層の神経 I(3/5)

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[図522] 頭部表層の神経 II(3/5)