概要
- 視索と島を観察するため、前頭葉と側頭葉の一部を除去した脳底の解剖図である。
主要な神経系統
- 嗅覚系:嗅球、嗅索、内側・外側嗅条、嗅覚野を含む。
- 視覚系:視索、視索交叉が観察可能である。
- 脳神経:第I〜第XII脳神経(動眼、滑車、三叉、顔面、舌咽、迷走神経など)が明瞭に描写されている。
重要な解剖学的構造物
- 下垂体、灰白隆起、乳頭体などの視床下部関連構造が観察できる。
- 脳幹部の主要構造:大脳脚、橋、延髄錐体が明確に示されている。
- 第4脳室脈絡叢も明瞭に観察可能である。

図417(脳底の図)
[図417]脳底の図:視索と島を露出するため、これらを覆う前頭葉と側頭葉の一部を除去してある。
画像に示されている脳底の解剖学的構造を詳細に列挙します:
嗅覚系
- Bulbus olfactorius (嗅球)
- 嗅球は前端に位置する球状の構造で、嗅神経を受容する最初の中継点である。嗅上皮からの嗅神経線維がここで二次ニューロンとシナプスを形成する。
- Tractus olfactorius (嗅索)
- 嗅球からの神経線維が集まって形成される索状の構造で、嗅覚情報を嗅球から大脳皮質の嗅覚野へと伝導する経路である。後方で内側嗅条と外側嗅条に分かれる。
- Stria olfactoria medialis (内側嗅条)
- 内側嗅条は、嗅索から分岐した神経線維束で、中隔前野や視床下部などの辺縁系領域に投射する。嗅覚情報の情動的・本能的な処理に関与する重要な経路である。
- Stria olfactoria lateralis (外側嗅条)
- 外側嗅条は、嗅索から分岐した神経線維束で、梨状葉皮質や扁桃体などの側頭葉内側部に投射する。嗅覚情報の認知的処理や情動との統合に関与する経路である。
- Area olfactoria (嗅覚野)
- 嗅覚野は、嗅覚情報を処理する大脳皮質の領域である。前梨状皮質、嗅内皮質、梨状皮質などを含み、嗅覚の知覚、認識、記憶に重要な役割を果たす。また、辺縁系との密接な連絡があり、嗅覚と情動反応の関連にも関与している。