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片山正輝

目次(V. 神経系)

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V.交感神経系(図譜一覧)

交感神経系は自律神経系「autonomes Nervensystem」とも呼ばれることがあるが、この名称は副交感神経単独にも用いられる。一般的に、自律神経系という用語は交感神経系と副交感神経系を合わせたものを指す。本書では交感神経系という名称を広義で使用し、副交感神経を含めている(小川鼎三)。

多くの神経系と同様に、交感神経系の構成要素も明確な分節的配列を示している(図567(交感神経の模式図) )。交感神経系は次の要素から成り立っている:

I. 脊髄 Medulla spinalis, Rückenmark

II. 脳 Encephalon, Gehirn

III. 脳神経 Nervi capitales, Hirnnerven

IV. 脊髄神経 Nervi spinales Rückenmarksnerven

V. 交感神経系 Systema nervorum sympathicum(vegetatives, sympathisches oder Gangliennervensystem)

  1. 脊柱の両側に並ぶ多数(20~25個)の神経節、すなわち交感幹神経節Ganglia trunci sympathici。これらは縦走する短い結合索(節間枝Rami intergangliares, Zwischenstränge)によって相互に結合し、左右それぞれ1本の縦の索、すなわち交感神経幹Truncus sympathicus(いわゆるGrenzstrang des SympathicusまたはStammstrang des Sympathicus)を形成している。
  2. 交通枝Rami communicantes:交感神経幹と脳脊髄神経系を結ぶ多数の神経束。
  3. 非常に多数の末梢枝Periphere Zweige:交感神経幹の様々な場所から出て末梢へ走り、脳脊髄神経と多くの場所で再び結合する。また、交感神経叢Plexus sympathiciを形成し、この神経叢内に大小様々な神経節(交感神経叢の神経節Ganglia plexuum sympathicorum)をもつ傾向が顕著である。これらの神経節は、交感神経幹の神経節に対して、交感神経の末梢神経節periphere Ganglien des Sympathicusとも呼ばれる。
  4. 横走する結合枝、すなわち横枝Rami transversi:両側の交感神経幹を相互に結びつける多様な構造。横枝は交感神経の腰部Lumbalteilと仙骨部Sakralteilにおいてのみ、比較的規則的に存在している。

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[図567] 交感神経の模式図

1, 1 交感神経幹の神経節、2, 2 節間枝、3 交通枝、4 交感神経節から末梢へ至る枝、5 両側の神経節を横方向に結合する横枝

交感神経系は身体のすべての主要部位に広がっているため、頭部(Kopfteil)、頚部(Halsteil)、胸部(Brustteil)、腹部(Bauchteil)、および骨盤部(Beckenteil)に区分される。

1. 交感神経幹とその神経節 Der sympathische Grenzstrang und seine Ganglien

2.交通枝 Rami communicantes

3.交感神経系の末梢の分枝 Periphere Zweige des sympathischen Nervensystems

4. 交感神経の基本構造 Elementarer Bau des Sympathikus

5. 交感神経の分布する領域,その線維の機能上の分類および線維の走行について Verteilungsgebiete des sympathischen Nervensystems, funktionelle Klassifizierung seiner Fasern und deren Verlauf

6. 交感神経の分布領域における神経終末 Nervenendigungen im Verbreitungsgebiet des Sympathikus