前三半規管 Canalis semicircularis anterior
前三半規管(前骨半規管、前半規管、上骨半規管とも呼ばれる)は、内耳の前庭迷路を構成する3つの半規管の1つであり、頭部の回転運動の検出において重要な役割を果たします。以下に、解剖学的特徴と臨床的意義について詳細に説明します(Lang and Nakashima, 2022; Curthoys et al., 2019)。

J0099 (18cm長(4ヶ月)胎児の内頭蓋底)
J0100 (12cm長(4ヶ月)胎児の内頭蓋底)
J0101 (14 cm長(4ヶ月)胎児の内頭蓋底)

J1048 (右耳の骨迷路の排出口:外側前方からの図)

J1049 (右耳の骨迷路の排出口:下方からの図)

J1050 (頭蓋骨中の右耳骨迷路の位置:上方からの図)

J1051 (前庭と半規管は、浸軟化された骨から外側に開く)

J1055 (右側の側頭骨を横切った断面で、上部から見た下半分の図)

J1056 (右側の側頭骨を垂直に切断し、外側の切断面を内側からの図)

J1057 (右側の側頭骨を垂直に切り取った部分、中央部分:外側からの図)

J1061 (右の骨迷路と膜迷路の模式図)

J1062 (成人の膜迷路は部分的に剖出:外側正面からの図)
1. 解剖学的特徴
1.1 位置と空間的配置
- 前三半規管は、側頭骨錐体部内の内耳に位置し、骨迷路の一部を構成します(Della Santina et al., 2005)。
- 内耳の前上方に位置し、側頭骨錐体軸に対してほぼ垂直(約90°)に配置されています。
- 矢状面に対して約41°、水平面に対して約37°、前額面に対して約56°の角度で傾斜しており、この角度は個人差があります(Bradshaw et al., 2010; Blanks et al., 1975)。
- 対側の後半規管とほぼ平行な平面を形成し、機能的にペアとして働きます。
1.2 形態学的構造
- 形状:半円形の管状構造で、約270°の円弧を描いています。
- 大きさ:半径約3.2mm(範囲2.9-3.5mm)の円弧構造で、全長約15-20mmです(Ifediba et al., 2007; Takagi and Sando, 1989)。
- 管腔の直径:約0.4mm(範囲0.3-0.5mm)で、膜迷路の直径は約0.3mmです。
- 壁の厚さ:骨迷路の壁は約1-2mmですが、上部では0.5mm以下に薄くなることがあり、これが半規管裂隙症候群の素因となります(Minor, 2000)。
1.3 連結部と開口部
- 膨大部脚(crura ampullaris):前三半規管の前下端から前庭に開口し、膨大部を含みます。膨大部は管腔が膨らんだ部分で、直径約1-1.5mmです。
- 非膨大部脚(単脚、crura simplex):前三半規管の後上端から下方に向かい、後半規管の非膨大部脚と合流して共通脚(crura commune)を形成します。
- 共通脚:長さ約4mmで、前庭の内側上部に開口します(Blanks et al., 1975)。
- 前庭との関係:膨大部は前庭の前上部の楕円嚢窩付近に開口し、共通脚は前庭の内側上部に開口します。
1.4 内部構造