長母指屈筋 Musculus flexor pollicis longus

J0183 (右前腕骨:筋の起こる所と着く所:回外位の手掌側からの図)

J0184 (右前腕骨:筋の起こる所と着く所:回外位の手の裏側からの図)
J0183 (右前腕骨:筋の起こる所と着く所:回外位の手掌側からの図)

J0205 (右の手骨:筋の起こる所と着く所を示す手掌側からの図)

J0471 (右前腕の筋:前面からの図)

J0472 (右前腕の筋:手掌側からの図)

J0473 (右前腕の筋(第2層):掌側図)

J0474 (右前腕の筋(第3層):掌側図)

J0475 (右前腕の筋(第4層):手掌側の図)

J0482 (右手掌の筋)

J0483 (右手の手掌の筋(第2層))

J0484 (右の母指球の深筋)

J0578 (右前腕第1層の動脈、手掌側図)

J0579 (右前腕第2層の動脈:手掌側図)

J0942 (右前腕の神経、深い層:前面からの図)
長母指屈筋は、前腕の深層に位置する細長い筋で、母指の精密な動きを可能にする重要な筋肉です。ヒト特有の発達を示し、精密把握や道具操作などの高度な手の機能に不可欠な役割を果たしています。
解剖学的構造
起始と停止
- 起始:橈骨前面の中央3/5(橈骨粗面から方形回内筋の上縁まで)および前腕骨間膜の広範な領域から起始します(Standring, 2020)。起始部は橈骨の掌側面に沿って線状に広がり、骨間膜からも線維を受け取ります。
- 停止:母指末節骨の掌側底部(基部)に停止します(Standring, 2020)。腱は末節骨の掌側面のほぼ全幅にわたって付着し、強固な屈曲力を発揮できる構造となっています。
走行経路
筋は前腕中央部で筋腹から単一の長い腱に移行します。この腱は以下の経路を辿ります:
- 前腕遠位部:方形回内筋の深部(橈骨側)を通過
- 手根部:手根管(屈筋支帯の深部)内を通過。手根管内では浅指屈筋腱および深指屈筋腱とともに走行しますが、最も橈側に位置します(Standring, 2020)。
- 手掌部:母指球筋群の深層を通過し、短母指屈筋の二頭(浅頭と深頭)の間を進みます。
- 母指:母指の線維性腱鞘内を通過し、末節骨に到達します。腱鞘内では滑液鞘に包まれ、摩擦を最小限に抑えています。
神経支配
前骨間神経(anterior interosseous nerve)によって支配されます(Standring, 2020)。前骨間神経は正中神経から分岐する純運動枝で、通常は肘関節の約5-8cm遠位で正中神経から分かれます。神経根レベルはC7-C8、特にC8およびT1からの線維が主体です。前骨間神経は長母指屈筋のほか、深指屈筋の橈側部(示指・中指への腱)および方形回内筋も支配します。
血液供給
主な血液供給は前骨間動脈(anterior interosseous artery)から得られます(Standring, 2020)。前骨間動脈は総骨間動脈から分岐し、骨間膜の前面に沿って遠位に走行しながら、長母指屈筋および周囲の深層屈筋群に栄養を供給します。補助的には橈骨動脈からの筋枝も関与します。
機能
- 主要機能:母指の遠位指節間(DIP)関節の屈曲。長母指屈筋は母指のDIP関節を屈曲させる唯一の筋肉です(Standring, 2020)。
- 副次的機能:母指の中手指節(MP)関節および手根中手(CM)関節の屈曲にも間接的に寄与します。特に強力な把握動作時には、これらの近位関節の屈曲力を補助します。