内腹斜筋 Musculus obliquus internus abdominis
内腹斜筋は、腹部の側面と前面に位置する重要な筋肉で、腹壁の第2層を構成しています。この筋肉は、腹部の解剖学的構造と生理学的機能において中心的な役割を果たし、臨床的にも多くの重要性を持っています(Standring, 2020)。

J0217 (右の寛骨:筋の起こる所と着く所を示す内側からの図)

J0433 (横隔膜:腹腔からの図)

J0438 (腹筋(第2層):腹面図)

J0439 (右の内腹斜筋の腱が腹直筋鞘に移行する図)

J0441 (弓状線より上部:腹壁の断面図)

J0442 (弓状線より尾側:腹壁を横断する図)

J0445 (右側の男性の鼡径管(第2層):前方からの図)

J0446 (男性右側の鼡径管(第3層):前方からの図)

J0450 (腰部の筋(第1層)、後方からの図)

J0451 (腰部の筋(第2層):背面図)

J0452 (腰部の筋:横断図)

J0573 (腹部前壁の動脈:背面図)

J0953 (右側の肋間神経の経路:右側前方からの図)

J0959 (右大腿の皮神経:前面からの図)
解剖学的特徴
起始部
- 腰筋膜(胸腰筋膜深層):腰部の後外側において、腰筋膜の内層から広範囲に起始します。この部位は腰部の安定性に寄与する重要な付着点となっています(Drake et al., 2019)
- 腸骨稜の中間線前部2/3:腸骨稜の前方部分の広い範囲から筋線維が起始し、骨盤と体幹の連結において重要な構造的役割を果たします
- 鼡径靭帯外側2/3:鼡径靭帯の外側部分から起始する筋線維は、鼡径部の解剖学的構造形成において特に重要な役割を担います
停止部
- 上部線維:第10~12肋骨下縁および最下位3本の肋骨軟骨に筋性停止します。これらの線維は呼吸運動、特に強制呼気において重要な役割を果たします
- 中部・下部線維:腹直筋鞘を形成する前後の腱膜に移行します。弓状線より上部では腹直筋鞘の前後両葉に分かれて停止し、弓状線より下部では前葉のみに停止します(Moore et al., 2018)
- 白線:腹部中央線において、外腹斜筋腱膜と交織して白線(linea alba)を形成します。この構造は左右の腹部筋群を連結し、腹壁の一体性を維持する重要な解剖学的構造です
形態学的特徴
- 筋線維の走行:後外側から前内側へ扇状に広がり、外腹斜筋の筋線維走行とは直角に近い角度で交差します。この配置により、腹壁の多方向的な強度と機能性が確保されています
- 後外側部の筋線維束:急角度で上昇し、肋骨下縁に停止します。この部分は肋骨の下制と強制呼気に関与します
- 中部筋線維束:ほぼ水平に走行し、腹直筋鞘に停止します。この部分は腹腔内圧の維持と体幹の回旋運動に主要な役割を果たします
- 下部筋線維束:上前腸骨棘からはほぼ水平に、鼡径靭帯からは斜め下方へ向かいます。この部分は鼡径管の形成と鼡径部の支持に特に重要です
- 厚さと構造:外腹斜筋より薄いが、腹横筋より厚い中間的な厚さを持ちます。この層状構造により、腹壁は柔軟性と強度を兼ね備えています(Netter, 2019)
神経支配と血液供給
神経支配