外側半月 Meniscus lateralis
外側半月は、膝関節における荷重伝達と安定性に寄与する半月状の線維軟骨構造です(Gray and Williams, 1989)。膝関節の機能維持において重要な役割を果たし、その解剖学的特徴と臨床的意義を理解することは、膝関節疾患の診断と治療において不可欠です。

J0247 (右の脛骨と腓骨:上方からの図)

J0335 (右の膝関節と脛骨:上方からの図)

J0337 (右の膝関節:前方からの図)

J0338 (右膝関節:前方からの図)

J0339 (右膝関節:後方からの図)

J0342 (右膝関節:大腿骨の外側顆を通る矢状断、側面からの正中矢状面)

J0343 (右の膝関節:側面からの図)

J0498 (右大腿の筋:腹側図)

J0499 (右大腿の筋:腹側図)
解剖学的特徴
形態と構造
- 形態:外側半月はほぼ完全な「O」字型(環状)を呈し、内側半月の「C」字型と対照的です(Standring, 2020)。この環状構造により、外側区画における荷重分散がより均等に行われます。
- 組織構造:主にI型コラーゲン線維(約90%)とII型コラーゲン線維(約10%)から構成され、線維は放射状・円周状に配列しています(Arnoczky and Warren, 1982)。この配列により、圧縮力と引張力の両方に対する抵抗性が実現されています。
- 血管分布:外周部(外側1/3)は血管が豊富な「red-red zone」、中間部(中央1/3)は「red-white zone」、内側部(内側1/3)は無血管性の「white-white zone」に分類されます(Arnoczky and Warren, 1982)。この血管分布の違いは、損傷後の治癒能力と治療法の選択に直接影響します。
- 細胞構成:線維軟骨細胞が主体で、外周部には線維芽細胞様細胞も存在します。細胞密度は組織全体の約2%程度と低く、主に細胞外マトリックスで構成されています(Messner and Gao, 1998)。
寸法と形状
- 幅:外側半月の幅はほぼ一定で約10〜13mmです(Fox et al., 2015)。この均一な幅は、内側半月の前方が狭く後方が広い形状とは対照的です。
- 厚さ:外周部で4〜5mm、内側縁で1mm未満と、外周部から内側に向かって薄くなります(Fox et al., 2015)。この楔状断面により、大腿骨顆と脛骨プラトーの間隙を効果的に埋めることができます。
- 円周長:成人で約80〜90mmの円周を有します(Standring, 2020)。
付着部と靭帯接続
- 前角付着部:脛骨の前顆間区に付着し、その位置は内側半月の前角付着部より外側寄りです(Messner and Gao, 1998)。前角は前十字靭帯の脛骨付着部の外側に位置します。
- 後角付着部:脛骨の後顆間区に強固に付着し、後十字靭帯の前方に位置します(Messner and Gao, 1998)。
- Winslow靭帯(半月大腿靭帯):後角から後方に伸びる小線維束で、後十字靭帯に沿って大腿骨内側顆に達することがあります(LaPrade et al., 2007)。この構造は外側半月の後方安定性に寄与します。
- 膝窩筋腱による分離:外側半月の後外側部は膝窩筋腱によって関節包から分離されており、この解剖学的特徴により外側側副靱帯との直接的な付着がありません(Brantigan and Voshell, 1946)。
可動性と力学的特性
- 可動性:外側半月は内側半月と比較して付着部の間隔が狭く、脛骨への固定が少ないため、前後方向への可動性が約11〜12mm(内側半月は約3〜5mm)と約2〜3倍大きくなっています(Vedi et al., 1999)。この高い可動性により、膝関節の屈伸運動時に大腿骨顆の動きに追従できます。