椎間円板 Discus intervertebralis

J0288 (椎間円板と隣接する椎体:前方からの図)

J0289 (椎間円板、水平に切り開かれ:髄核内の空洞が開いている図)

J0290 (腰椎の一部の正中断、右切断半分:左方からの図)

J0292 (胸椎と肋骨、椎間円板:前方からの図)

J0293 (腰椎体と靭帯:後方からの図)

J0296 (後頭骨と第1から第3の頚椎は、前方から見ると靱帯と結合する)

J0302 (後頭骨と最初から三番目までの頚椎を含む正中矢状断とそのリング状の組織:左方からの若干図式化された図)

J0303 (右側の第10および第11肋骨と、関連する椎骨と靭帯)

J0304 (右側の肋骨と関連する椎骨、靱帯)

J0452 (腰部の筋:横断図)

J0616 (腰椎の静脈の正中断面:左側からの図)
定義と基本構造
椎間円板は、脊椎の隣接する2つの椎体間に位置する繊維軟骨性の円盤状構造物です。脊柱全長の約1/4を占め、脊柱の可動性と安定性を両立させる重要な解剖学的構造です (Roberts et al., 2006)。
解剖学的構造
1. 髄核(Nucleus pulposus)
髄核は椎間円板の中心部に位置する半流動性のゲル状組織です (Urban and Roberts, 2003)。その特徴は以下の通りです:
- 水分含有量が約80-88%と非常に高く、これが衝撃吸収能の基盤となっています
- 主な構成成分はプロテオグリカン(特にアグリカン)とII型コラーゲンで、高い浸透圧を維持します
- 胎生期には脊索の遺残である脊索細胞が存在しますが、成人では消失します
- 若年期にはゼリー状の均一な構造ですが、加齢とともに線維化が進行します
- 無血管・無神経組織であり、栄養は拡散によって椎体終板から供給されます
2. 線維輪(Annulus fibrosus)
線維輪は髄核を取り囲む同心円状の層状構造を持つ強靭な線維性組織です (Marchand and Ahmed, 1990):
- 約15-25の層(lamellae)から構成され、各層は平行に配列したコラーゲン線維束で形成されています
- 隣接する層のコラーゲン線維は約30°の角度で交互に傾斜し、らせん状に配列しています。この構造が多方向からの力に対する抵抗力を提供します (Cassidy et al., 1989)
- 主な構成成分はI型コラーゲン(外層)とII型コラーゲン(内層)で、外層ほど線維密度が高くなります
- 外層1/3には感覚神経終末と血管が分布し、痛覚受容器として機能します
- 後外側部は前方や側方に比べて薄く、椎間板ヘルニアの好発部位となります
- 線維輪は椎体終板と椎体辺縁にSharpey線維によって強固に結合しています