https://funatoya.com/funatoka/Rauber-Kopsch.html
橋は脳底にある強大な白色の膨らみで、下方は延髄、上方は左右の大脳脚によって明確に境されている。ただし、これらの特徴は橋底部(Pars basialis pontis)のみに当てはまる。一方、橋背部(Pars dorsalis pontis、すなわち橋被蓋 Brückenhaube)は菱形窩の上部を形成している。橋の外側境界は、左右とも三叉神経と顔面神経の根が出る部位を結ぶ三叉神経-顔面神経線(Trigeminus-Facialislinie)によって定められる。この線より外側で小脳に達する橋の部分は橋腕(Brachium pontis)と呼ばれる。
橋の腹側面は横および矢状方向に強く膨隆し、顕著な横走線条が見られる。これらの線条は全体として橋腕へと向かっている。上部の線維束は背方に向かうと同時に下方へ傾斜し、中央部の一束がこの傾向を特に強く示す。この束は他の横走線維の上を越えて顔面神経の出口に向かって進み、橋斜束(Fasciculus obliquus pontis)と呼ばれる。
橋の腹側面には正中線を縦走する1つの溝、すなわち正中溝(Sulcus medianus)がある。橋の上方の境界には橋外側糸(Fila lateralia pontis)が走っている(図422(脳幹、四丘体付近、菱形窩) )。橋外側糸は結合腕と橋腕との間の溝で始まり、橋の上縁に沿って走り、大脳脚に移行している。
橋の腹側面の長さは20〜30mm、幅は30〜36mm、厚さは約25mmである。橋の背面における境界は、下方は髄条により、上方は脳室底の上端によって示されている。骨格との局所関係では、橋は斜台の上部に位置し、鞍背の上縁にまで達している。
[図410] 図408に示した脳の正中断面の一部を拡大したもの
脳弓柱没部(Pars tecta columnae fornicis)および乳頭視床束(Fasciculus mamillothalamicus)は、これらを覆う第三脳室の側壁を取り除くことで露出させてある。髄ヒモ(Taenia medullaris)は第三脳室脈絡叢を剥離することで可視化してある。小脳では、虫部垂を除去し、虫部小節を後方に曲げることで、第四脳室外側陥凹(Recessus lateralis ventriculi IV)への入口をより明瞭に表示してある。
[図411] 脳梁を上から見た図と半卵円中心。
左右の大脳半球の上部を脳梁の上面の高さまで除去し、脳梁膝と脳梁膨大を覆う帯状回の部分も取り除いてある。