橋 Pons
基本構造と位置
- 橋は脳幹に位置し、延髄と中脳を接続する哺乳類特有の器官であり、ヒトにおいて最も発達している (Standring, 2021)。
- 腹側面は横橋線維で覆われており、中小脳脚を形成して小脳と連結している (Gray and Lewis, 2018)。
解剖学的特徴
- 橋被蓋には三叉神経核、顔面神経核、内耳神経核が存在し、聴覚路を形成している (Moore et al., 2019)。
- 橋底部には横橋線維、橋縦束、橋核が存在し、大脳皮質からの下行神経線維と連絡している (Nolte, 2020)。
寸法と位置関係
- 橋の腹側面は長さ20~30mm、幅30~36mm、厚さ約25mmである (Kiernan and Rajakumar, 2023)。
- 骨格との関係では、斜台の上部に位置し、鞍背の上縁まで達している。
機能的役割
- 呼吸、睡眠、顔の動きなど、多様な生理機能の制御を担う重要な中継器官である (Purves et al., 2018)。
神経伝導路
- 錐体路(皮質脊髄路)や皮質橋路など、大脳皮質からの下行性神経路が通過する (Crossman and Neary, 2020)。
- 内側毛帯や外側毛帯などの上行性感覚路も橋を通過する。
臨床的意義
- 橋出血や橋梗塞は重篤な神経症状を引き起こし、生命予後に影響を及ぼす可能性がある (Goto et al., 1980)。
- 橋の障害は、四肢麻痺、顔面神経麻痺、眼球運動障害などの症状を引き起こすことがある (Patten, 2021)。
発生学的特徴
- 橋は後脳胞から発生し、胎生期の神経管の屈曲部に位置する (Sadler, 2019)。