蝶形骨洞 Sinus sphenoidalis

J0095 (鼻腔の右側壁:左方からの図)

J0096 (鼻腔の右側壁:左方からの図)

J0097 (左方からの鼻腔、骨性鼻中隔)

J0357 (頭蓋骨:右左方向からのX線像、軸線は右の外耳道の少し上から入ります)

J0605 (右側の海綿静脈洞の冠状断面:背面からの図)

J0639 (頭頚部の正中矢状断:左側からの右半分の図)

J0674 (咽頭とその周囲の右半分:左側からの図)

J1006 (眼窩の内容物:上方からの図)

J1070 (粘膜なしの鼻中隔:左方からの図)

J1071 (鼻中隔と粘膜:左方からの図)

J1072 (鼻腔の右壁と粘膜:左側からの図)

J1073 (中鼻甲介と下鼻甲介を除去した後の鼻腔の右壁と粘膜:左方からの図)
蝶形骨洞は、副鼻腔の中で最も後方に位置し、解剖学的および臨床的に極めて重要な構造です (Lang, 2020)。その特殊な位置関係から、周囲の重要な神経血管構造や内分泌器官と密接に関連しており、耳鼻咽喉科、神経外科、内分泌外科領域において重要な臨床的意義を持ちます。
解剖学的特徴
位置と構造
- 位置: 蝶形骨体の内部に位置し、全副鼻腔の中で最も後方かつ深部に存在する (Stammberger and Kennedy, 2016)
- 形態: 蝶形骨体内部のほぼ全体を占める不規則な形状の含気腔で、左右は中隔により分離されるが、この中隔は正中線から偏位していることが多い (Van Alyea, 1941)
- 中隔の特徴: 蝶形骨洞中隔は多くの症例で非対称性を示し、その偏位の程度は個体差が大きく、手術時の重要な解剖学的指標となる
大きさと含気化パターン
蝶形骨洞の大きさと含気化の程度には著しい個人差があり、Hammer and Radberg (1961) により以下の3型に分類されています:
- 前蝶形骨型 (Presellar type): 含気化が鞍結節の前方に限局するもので、比較的小さい洞を形成
- 蝶形骨型 (Sellar type): 含気化がトルコ鞍底部まで達するもので、最も一般的なパターン
- 後蝶形骨型 (Postsellar type): 含気化が後床突起を超えて後方まで及ぶもので、最も広範な含気化を示す
この含気化パターンは、経蝶形骨洞的手術アプローチの計画において重要な情報となります (Hamberger et al., 1961)。
発達と年齢変化
- 発達時期: 蝶形骨洞は頭蓋底部に位置し、他の副鼻腔に比べて遅く発達を開始します。思春期以降に本格的な発達が始まり、20歳頃まで含気化が継続します (Scuderi et al., 1993)
- 含気化の進行: 成人期に向けて段階的に含気化が進行しますが、その速度と最終的な大きさには著しい個人差が認められます (Hamberger et al., 1961)
- 臨床的意義: 発達段階や含気化の程度により、周囲構造との関係が変化するため、年齢を考慮した解剖学的評価が必要です
周囲構造との関係
壁と隣接構造