橈側手根屈筋 Musculus flexor carpi radialis

J0175 (右上腕骨とその筋の起こる所と着く所:前方からの図)

J0176 (右上腕骨と筋の起こる所と着く所:後方からの図)

J0205 (右の手骨:筋の起こる所と着く所を示す手掌側からの図)

J0466 (右上腕の筋:掌側図)

J0471 (右前腕の筋:前面からの図)

J0472 (右前腕の筋:手掌側からの図)

J0473 (右前腕の筋(第2層):掌側図)

J0474 (右前腕の筋(第3層):掌側図)

J0482 (右手掌の筋)

J0483 (右手の手掌の筋(第2層))

J0578 (右前腕第1層の動脈、手掌側図)

J0582 (右手掌表層の動脈)
橈側手根屈筋は、前腕前面浅層に位置する重要な屈筋です。上腕骨内側上顆から起始し、長い腱となって手根部を通過し、第2中手骨底に停止します。この筋は手関節の屈曲と橈側偏位において中心的な役割を果たします (Standring, 2016; Moore et al., 2018)。
解剖学的特徴
起始
- 上腕骨内側上顆から共同屈筋腱(内側上顆共同腱)の一部として起始します。この共同腱は浅指屈筋、尺側手根屈筋、長掌筋とも共有されています (Drake et al., 2020)
- 前腕筋膜の深層からも一部線維が起始します
- 隣接する長掌筋および円回内筋との間の筋間中隔からも起始線維を受けます (Clemente, 1985)
走行
- 筋腹は前腕近位1/3で細長い腱に移行し、前腕中央部では長掌筋腱の橈側、浅指屈筋の浅層を走行します
- 前腕遠位部では橈骨茎状突起の橈側を通過し、この部位で橈骨動脈と並走します。橈骨動脈は腱のすぐ橈側に位置し、脈拍触診の重要な解剖学的ランドマークとなります (Hoppenfeld, 1976)
- 手関節部では屈筋支帯(横手根靱帯)の下を通過しますが、他の屈筋腱とは異なり、独自の骨性線維性トンネル(橈側手根屈筋腱鞘)を通過します。このトンネルは大菱形骨の掌側溝と屈筋支帯の橈側部によって形成されます (Kapandji, 2007)
- 腱鞘は滑液で満たされており、腱の円滑な滑走を可能にしています
停止
- 主要停止部:第2中手骨底の掌側面(橈側)に強固に付着します。この付着部は手関節の屈曲と橈側偏位に最適な力学的位置にあります (Neumann, 2017)
- 副次的停止:第3中手骨底にも少量の線維が付着することがあります。この変異は個人差があり、約15-20%の症例で認められます (Nigro, 2001)
- 稀な変異として、大菱形骨への停止が報告されています(詳細は後述)
神経支配
- 正中神経(C6, C7、時にC8も関与)によって支配されます
- 神経枝は通常、前腕近位部で筋腹の深層に進入します。この神経枝は円回内筋の深頭を通過した後、橈側手根屈筋に到達します (Drake et al., 2020)