僧帽筋 Musculus trapezius

J0077 (頭蓋骨、筋の起こる所と着く所:右方からの図)

J0081 (外頭蓋底:筋の起こる所と着く所を示す図)

J0164 (右肩甲骨、筋の起こる所と着く所:前面からの図)

J0167 (右鎖骨、筋の起こる所と着く所:上方からの図)

J0168 (右鎖骨、筋の起こる所と着く所:下方からの図)

J0415 (右側の頭頚部の筋:後方からの図)

J0417 (頚部の筋(2層):前方からの図)

J0418 (頚部の筋(第2層):右側からの図)

J0420 (頚部の筋(第3層):右側からの図)

J0426 (頭側から見た気管始部を通る頚部の断面図)

J0427 (広頚筋を除去した後の右胸部の筋:腹側図)

J0429 (右の胸筋(第2層)、正面からの図)

J0448 (広い背筋:背面図)

J0610 (顔の表在静脈:右側からの図)

J0828 (脊椎と筋の断面図)

J0927 (脊髄神経の後枝:後方からの図)

J0928 (右上部頚神経の後枝:後方からの図)
概要
僧帽筋は背部の最表層に位置する大型の扁平筋で、頭頚部から胸椎に至る広範な起始部を持ち、肩甲骨と鎖骨に停止します。その名称は、両側を合わせた形状が僧侶の頭巾(trapezium)に似ていることに由来します (Standring, 2021)。この筋は肩甲骨の運動制御において中心的役割を果たし、上肢の機能的運動に不可欠です。
詳細な解剖学的特徴
位置と層構造
- 僧帽筋は背部の第1層(最表層)に位置し、項部から上背部を広く被覆します (Moore et al., 2019)。
- 左右の僧帽筋を合わせると、後頭部から第12胸椎に至る台形または菱形を形成し、背部の表在性ランドマークとなります。
- 深層には、肩甲挙筋、菱形筋群、脊柱起立筋群などが位置します。
構造と筋線維の走行
僧帽筋は筋線維の走行方向により、機能的に3つの部分に区分されます (Gray and Lewis, 2020; Netter, 2023):
- 上部線維(下行部、Descending part):
- 後頭骨と上位頚椎から起始し、下外側方向へ走行して鎖骨外側1/3に停止します。
- 主な作用は肩甲骨の挙上と上方回転です。
- この部分は「肩こり」の主座となる領域です。
- 中部線維(横行部、Transverse part):
- 下位頚椎から上位胸椎の棘突起から起始し、ほぼ水平に外側へ走行して肩峰内側縁と肩甲棘に停止します。
- 主な作用は肩甲骨の内転(脊柱への接近)です。
- 姿勢保持において重要な役割を果たします。
- 下部線維(上行部、Ascending part):
- 中・下位胸椎(T6-T12)の棘突起から起始し、上外側方向へ走行して肩甲棘内側端に停止します。
- 主な作用は肩甲骨の下制と上方回転です。
- 上部線維とともに肩甲骨の上方回転に協働します。
詳細な付着部
起始(Origo):
- 後頭骨:外後頭隆起(external occipital protuberance)と上項線(superior nuchal line)の内側1/3 (Netter, 2023)
- 項靱帯(ligamentum nuchae):第7頚椎から後頭骨に至る強靱な線維性構造
- 第7頚椎(C7)から第12胸椎(T12)の棘突起
- 棘上靱帯(supraspinous ligament)および棘間靱帯(interspinous ligament)