前斜角筋 Musculus scalenus anterior

J0418 (頚部の筋(第2層):右側からの図)

J0419 (頚部の筋(第3層):前方からの図)

J0420 (頚部の筋(第3層):右側からの図)

J0423 (深頚筋:正面からの図)

J0425 (右側の斜角筋:右側からの図)

J0430 (右の前鋸筋(外側鋸筋):外側およびやや腹側からの図)

J0557 (頚部浅層の動脈:右前方からの図)

J0572 (右の鎖骨下動脈:右側からの図)

J0923 (頚部の右迷走神経:右側からの図)

J0929 (右側の頚神経叢と腕神経叢:模式図)

J0931 (横隔神経:前面からの図)

J0932 (右側の腕神経叢とその短い枝:前面からの図)

J0975 (胸腔内の交感神経の右側境界線、前右側からの図)
前斜角筋は、頚部の深部に位置する重要な筋肉であり、呼吸補助筋および頚椎運動筋として機能します。この筋は、腕神経叢と鎖骨下動脈に対する解剖学的関係から、臨床的に極めて重要な構造物です (Standring, 2021)。
解剖学的構造
起始と停止
- **起始:**第3-6頚椎(C3-C6)の横突起前結節から起こります (Moore et al., 2022)。前結節は前斜角筋専用の付着部位であり、後結節(中斜角筋と後斜角筋の付着部)とは明確に区別されます。
- **停止:**第1肋骨の前斜角筋結節(Lisfranc結節)に停止します (Netter, 2019)。この結節は第1肋骨の上面、内側縁の近くに位置し、鎖骨下動脈溝の前方に存在します。
解剖学的位置関係
- 前斜角筋と中斜角筋の間には前斜角筋間隙(interscalene triangle)が形成され、腕神経叢(C5-T1)の根部と鎖骨下動脈が通過します (Gray et al., 2021)。この間隙は胸郭出口症候群の発生において重要な解剖学的部位です。
- 横隔神経(C3-C5)は前斜角筋の前面を外側上方から内側下方に向かって斜めに下行し、胸腔へと入ります (Standring, 2021)。
- 椎骨動脈は前斜角筋の内側を上行し、第6頚椎横突孔に入ります (Moore et al., 2022)。
- 鎖骨下静脈は前斜角筋の前方を通過し、前斜角筋結節の前方で鎖骨下動脈と合流して腕頭静脈を形成します (Netter, 2019)。
神経支配
- 前斜角筋は頚神経叢の前枝(C4-C6)によって支配されます (Standring, 2021)。特にC5およびC6からの神経線維が主要な支配神経となります。
血液供給
- 前斜角筋への血液供給は、主に上行頚動脈(ascending cervical artery)と下甲状腺動脈(inferior thyroid artery)の枝によって行われます (Gray et al., 2021)。これらの動脈は甲状頚動脈幹(thyrocervical trunk)から分岐します。
機能
頚椎運動
- **片側収縮時:**頚椎の同側屈(lateral flexion)と対側回旋(contralateral rotation)を行います (Neumann, 2017)。前斜角筋は頚部の側屈において重要な役割を果たします。
- **両側同時収縮時:**頚椎の前屈(flexion)を補助します (Moore et al., 2022)。ただし、この作用は頚部の他の屈筋群と比較すると副次的なものです。