鎖骨 Clavicula
鎖骨は、上肢帯を構成する重要な骨であり、解剖学的および臨床的に以下のような特徴を持ちます (Gray and Lewis, 2024; Moore et al., 2023)。

J0165 (右の鎖骨:上方からの図)

J0166 (右の鎖骨、下方からの図)

J0167 (右鎖骨、筋の起こる所と着く所:上方からの図)

J0168 (右鎖骨、筋の起こる所と着く所:下方からの図)

J0308 (鎖骨、胸骨、そして第1肋骨とその靱帯:前方からの図)

J0309 (右肩帯と靱帯:外側から少し前方からの図)

J0310 (右肩関節:前方からの図)

J0359 (胸椎と隣接する肋骨、腹背方向からのX線像)

J0361 (上肢帯:右肩、内側に巻かれた上腕、軸光線は斜めに前方、背腹方向からのX線像)

J0417 (頚部の筋(2層):前方からの図)

J0418 (頚部の筋(第2層):右側からの図)

J0419 (頚部の筋(第3層):前方からの図)

J0420 (頚部の筋(第3層):右側からの図)

J0421 (舌骨筋(深層):前面図)

J0427 (広頚筋を除去した後の右胸部の筋:腹側図)

J0429 (右の胸筋(第2層)、正面からの図)

J0432 (腹側胸壁の筋:背面図)

J0461 (右上腕の筋:橈側からの図)

J0464 (右肩甲骨の筋:前面からの図)

J0466 (右上腕の筋:掌側図)

J0468 (右上腕の筋:背面図)

J0757 (12歳少年の胸部臓器:前方からの図)

J0932 (右側の腕神経叢とその短い枝:前面からの図)

J0933 (右肩甲骨の神経:後方からの図)

J0934 (右の腕神経叢(鎖骨下部)が下から前に向かっている図)

J0939 (右上腕の神経幹:内側からの図)
解剖学的特徴
位置と形状
- 鎖骨は胸骨の上縁に位置し、胸骨と肩甲骨を連結する唯一の骨性連結です。長さは約12-15cmで、男性の方が女性より長く太い傾向があります (Standring, 2023)。
- S字状の特徴的な湾曲を持ち、内側3分の1は前方に凸、外側3分の2は前方に凹のカーブを描きます。この形状により、上肢からの力を効果的に体幹へ伝達し分散させる機能があります (Drake et al., 2023)。
- 内側端は胸骨端(extremitas sternalis)、外側端は肩峰端(extremitas acromialis)と呼ばれ、それぞれ胸鎖関節、肩鎖関節を形成します (Netter, 2023)。
表面解剖
- 上面(facies superior)は滑らかで、皮下に触知可能です。内側部には胸鎖乳突筋の鎖骨頭が付着し、外側部には三角筋の鎖骨部が付着します (Moore et al., 2023)。
- 下面(facies inferior)には、以下の重要な構造があります:
- 鎖骨下筋溝(sulcus musculi subclavii):鎖骨下筋が付着する浅い溝
- 円錐靭帯結節(tuberculum ligamenti conoidealis):円錐靭帯が付着する隆起
- 僧帽靭帯線(linea trapezoidea):僧帽靭帯が付着する線状の隆起
- 肋鎖靭帯圧痕(impressio ligamenti costoclavicularis):肋鎖靭帯が付着する粗面
- 前縁(margo anterior)と後縁(margo posterior)は筋の付着部となり、特に後縁の外側部は僧帽筋が付着します (Standring, 2023)。
発生学的特徴
- 鎖骨は全身の骨の中で最も早く骨化が始まる骨であり、胎生第5-6週に鎖骨間葉に骨化中心が出現します。これは膜内骨化による骨形成です (Scheuer and Black, 2023)。
- 内側端(胸骨端)の二次骨化中心は18-20歳頃に出現し、25歳前後で一次骨化部と癒合します。この特徴は法医学的な年齢推定に有用です (Drake et al., 2023)。
- 鎖骨の骨化過程は個人差があり、栄養状態や遺伝的要因の影響を受けます (Scheuer and Black, 2023)。
筋・靭帯の付着部
- 上面:胸鎖乳突筋(鎖骨頭)、三角筋(鎖骨部)、僧帽筋(外側部)
- 下面:鎖骨下筋、円錐靭帯、僧帽靭帯、肋鎖靭帯