口蓋突起 Processus palatinus (Maxilla)

J0044 (篩骨、垂直板:左方からの図)

J0051 (鋤骨:左方からの図)
J0052 (鋤骨:前面からの図)

J0053 (右上顎骨:外側からの図)

J0054 (上顎骨:内面からの図)

J0055 (上顎骨:下からの左右両方の結合した図)

J0097 (左方からの鼻腔、骨性鼻中隔)

J0111 (19cm長胎児(5ヶ月の初め)の口蓋:下方からの図)

J0640 (頭部の前頭断、後方からの図)
口蓋突起は、上顎骨の内側方向に突出する重要な解剖学的構造です。以下、解剖学的特徴と臨床的意義について詳述します(Standring, 2020; Netter, 2019):
解剖学的特徴
- 上顎体と歯槽突起の移行部から内側に水平に伸びる骨板状の構造です(Drake et al., 2019)。
- 対側の口蓋突起と合わさり、硬口蓋の前方約2/3を形成します(残りの後方1/3は口蓋骨の水平板が担います)(Moore et al., 2018)。
- 上面は鼻腔底の一部を形成し、下面は口腔側で硬口蓋の粘膜に覆われています(Standring, 2020)。
- 内側縁(正中側)は対側と合わさり、正中口蓋縫合を形成します(Fehrenbach and Herring, 2012)。
- 前内側部には切歯管(鼻口蓋管)が開口し、鼻口蓋神経と血管が通過します(Netter, 2019)。
- 後縁は口蓋骨の水平板と接合し、横口蓋縫合を形成します(左右の第2大臼歯の歯槽を結ぶ線上に位置)(Moore et al., 2018)。
発生学
- 胎生期に左右の口蓋突起が正中で癒合することで硬口蓋が形成されます(Sadler, 2019)。
- この癒合は胎生7〜12週頃に起こり、癒合不全は口蓋裂の原因となります(Carlson, 2019)。
臨床的意義
- 口蓋裂:左右の口蓋突起の癒合不全により生じる先天異常で、言語障害や哺乳障害の原因となります(Mossey et al., 2009)。
- 口蓋隆起(トーラス・パラティヌス):正中口蓋縫合に沿って生じる良性の骨隆起で、義歯装着の障害となることがあります(García-García et al., 2010)。
- 大口蓋神経ブロック:歯科治療における麻酔法の一つで、大口蓋孔から注射を行い上顎臼歯部と口蓋側粘膜の麻酔を行います(Malamed, 2019)。
- 上顎骨骨折:Le Fort I型骨折では口蓋突起を含む骨折線が生じ、上顎歯列弓の可動性をもたらします(Fonseca et al., 2017)。
- 口蓋形成術:口蓋裂の外科的修復において、口蓋突起部の粘膜骨膜弁を挙上・移動させることで正常な口蓋形態を再建します(Shi and Losee, 2015)。
参考文献