舌下神経管 Canalis nervi hypoglossi

J0020 (後頭骨:前方からの図)

J0021 (後頭骨:後下方からの図)

J0022 (後頭骨:右側からの図)

J0087 (左側からの頭蓋骨の正中断図)

J0098 (14cm長(4ヶ月)胎児の内頭蓋底)
J0099 (18cm長(4ヶ月)胎児の内頭蓋底)
J0100 (12cm長(4ヶ月)胎児の内頭蓋底)
J0101 (14 cm長(4ヶ月)胎児の内頭蓋底)

J0102 (19cm長(5ヶ月の初め)胎児の内頭蓋底)

J0103 (28cm長(6ヶ月)胎児の内頭蓋底)

J0104 (5cm長(約10週間)胎児の後頭部)
J0105 (7.5cm長胎児(約13週間)の後頭部:後方からの図)
J0106 (7ヶ月胎児の後頭部:前面からの図)

J0296 (後頭骨と第1から第3の頚椎は、前方から見ると靱帯と結合する)

J0299 (後頭骨、第1および第2頚椎とその靭帯(第3層):後方からの図)

J0300 (後頭骨、最初と二番目の頚椎(第4層):後方からの図)

J0301 (後頭骨および第1から第3の頚椎、靱帯(第二層):後方からの図)

J0302 (後頭骨と最初から三番目までの頚椎を含む正中矢状断とそのリング状の組織:左方からの若干図式化された図)
解剖学的構造
位置と形態
舌下神経管は後頭骨の後頭顆の上方に位置する骨性の管状構造です。頭蓋底の後頭骨部分に存在し、大後頭孔(foramen magnum)の前外側縁に開口しています(Standring, 2016)。管は後内方から前外方に向かって斜めに走行し、その長さは平均約1.0〜1.2cm、直径は約4〜6mmです(Kanda et al., 2020)。
内口と外口
- 内口(内頭蓋口):頭蓋腔内に開口し、後頭蓋窩の下部に位置します。内口は頸静脈孔の前内側、舌下神経結節(tuberculum nervi hypoglossi)の外側に認められます。
- 外口(外頭蓋口):頭蓋外側に開口し、後頭顆の外側、頸動脈管の後方に位置しています。外口は頸静脈孔の前方約5〜8mmに位置します(Katsuta et al., 2017)。
通過構造
舌下神経管を通過する主要な構造は以下の通りです:
- 舌下神経(第XII脳神経):延髄の前外側溝から10〜15本の神経根として起始し、これらが集合して1〜2本の神経束として舌下神経管を通過します。
- 咽頭髄膜動脈(ascending pharyngeal artery)の髄膜枝:硬膜への血液供給を担います。
- 舌下神経管静脈叢:後頭蓋窩の静脈血を頸静脈系に還流させます。この静脈叢は個人差が大きく、臨床的に重要です(Karasu et al., 2009)。
形態学的変異
舌下神経管の二分(Divided hypoglossal canal)
舌下神経管は骨橋(bony spicule)または骨性隔壁によって二分されることがあります。この変異は人口の約20〜30%に認められ、人種や地域によって出現頻度が異なります(Paraskevas et al., 2009; Saitou et al., 2018)。
- 前方の大きい管:舌下神経が通過します(直径3〜5mm)。
- 後方の小さい管:主に静脈叢が通過します(直径1〜3mm)。
日本人集団における研究では、舌下神経管二分の出現率は左側で約25%、右側で約18%と報告されており、左側優位の傾向があります(Saitou et al., 2018)。
骨橋の形態学的特徴