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目次(III. 脈管系)

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心臓は空洞をもつ筋性の器官で、やや扁平な円錐形をしている。心外膜Epicardium、心筋層Myocardium、心内膜Endocardiumの3層で構成されており、中層の心筋層Myocardium, Herzmuskel, Muskelschicht des Herzensが最も発達している。心筋の外面を覆う漿膜は心外膜Epicardiumと呼ばれ、心臓と心臓から出る太い血管の基部を保護する心膜Pericardiumという漿膜嚢の臓側葉である。

心筋層の内側にある心臓の内膜、すなわち心内膜Endocardiumは、1層の内皮細胞とその下層の結合組織からなる。心内膜は心臓の空洞内面全体を覆い、空洞内の血液を包み込んでいる。

心臓は後上方に向かって広がり、その終端を心底Basis cordis(RK622(心底) )という。ここから複数の太い血管が出ており、心膜の臓側葉が折り返って壁側葉になる部位でもある。したがって、心臓を周囲の組織に固定する役割も果たしている。心臓の丸みを帯びた先端、すなわち心尖Apex cordisは、心底までの心臓体と同様に全面が遊離しており、漿膜嚢の空所内で自由に動くことができる(RK618(心臓:前面)RK619(心臓:横隔面) )。

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RK618(心臓:前面)

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RK619(心臓:横隔面)

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RK622(心底)

前面は胸肋面Facies sternocostalisと呼ばれ膨隆しているが、後面の横隔面Facies diaphragmaticaは横隔膜に接するため平坦である。左右の縁のうち、右縁はより鋭く長いのに対し、左縁は丸みを帯びて比較的短い。

深い横走する冠状溝Sulcus coronarius, Querfurcheが心臓の外面を心房部と心室部に区分しているが、この溝は前面で肺動脈と大動脈の起始部により中断される。心房部と心室部には前後に縦走する溝、前室間溝後室間溝Sulcus interventricularis ventralis, dorsalisが各1本あり、それぞれ心室と心房を左右に分ける隔壁の位置を示している。これらの前後縦溝は心尖を越えず、その右側で通常心尖切痕Incisura apicis cordis(RK618(心臓:前面) )と呼ばれる浅いくぼみを形成している。

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[図617心臓の構造模型図 (Henleによる,やや改変)

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[図618] 心臓:前面(胸肋面 Facies sternocostalis)(5/6)

この心臓の位置は体内での自然な配置とは異なる。

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[図619] 心臓:横隔面(5/6)

この心臓の配置は体内における自然な位置とは異なる。

心臓各部の概観 Übersicht der Herzabschnitte

心房部と心室部および付属構造の概要 Überblick über die Vorhof- und Kammerregionen sowie zugehörige Strukturen

心臓諸部についての各論 Spezielle Beschreibung der Herzabschnitte

心臓壁の層構造 Wandschichten des Herzens

心臓の脈管と神経 Blutgefäße und Nerven des Herzens

心臓の大きさ、重量、表面積 Größe, Gewicht und Oberfläche des Herzens

心臓およびその各部の局所解剖 Topographische Anatomie des Herzens und seiner Teile