https://funatoya.com/funatoka/Rauber-Kopsch.html

目次(IV. 内臓学)

funalogo.gif


099.png

図099(胸部と腹部の内臓の位置)

100.png

図100(腹部内臓の位置関係I)

113.png

図113(腺腹)

135.png

図135(肝臓、横隔面)

136.png

図136(肝臓:内臓面の中部と陥凹内に含まれる諸器官を示す)

137.png

図137(肝臓の内臓面と他の器官との接触部位)

138.png

図138(**肝臓:**横隔面の付着部)

139.png

図139(肝臓の内臓面)

140.png

図140(肝臓の肝小葉の上下断面:概観像)

141.png

図141(1個の肝小葉内の血管分布)

142.png

図142(肝小葉の配列)

143.png

図143(肝静脈の根の模型図)

144-145.png

図144(ヒトの肝臓の星細胞)、145(壁に付着している扁平な2個の星細胞)

146-148.png

図146(ヒトの肝細胞を単離したもの:健康)、167(ヒトの肝細胞を単離したもの:チフス患者)、148(肝小葉の周辺部から採取した肝細胞の網状構造)

149-150.png

図149(毛細胆管)、150(2個の肝細胞(1と2)における毛細胆管と毛細血管の位置関係を示す模式図)

肝臓の基本形は3面をもつプリズムで、前縁(ventrale Kante)以外の縁や角はすべて丸みを帯びている。暗い赤褐色を呈し、重さは約1500gある。(日本人の肝臓の重さについて、保田収蔵の研究[九大病理学教室臓器統計、福岡医大誌11巻360~423, 1918]では、男性914例の平均が1262g、女性457例の平均が1147gである。また、山田致知[日本人の臓器重量、医学総覧2巻14~15, 1946]によれば、男性1186例の平均が1264g、女性762例の平均が1181gである。)

これは体重のおよそ1/36に相当する。胎児や新生児では肝臓が比較的大きい。肝臓の比重は1050~1060である。赤褐色を呈する実質は充実しているが、非常に硬いわけではない。容易に切れ、また引き裂くことができる。生体内では圧や震動によって損傷することがあり、他の器官が同じ外力で無傷の場合でもこれが起こりうる。裂けた肝臓の断面は滑らかでなく、小さな隆起によって凸凹した様相を呈するが、これはこの器官の構造から容易に理解できる。

横隔面図136(肝臓:内臓面の中部と陥凹内に含まれる諸器官を示す)図138(**肝臓:**横隔面の付着部))は横隔膜頂の凹面に密接している(図099(胸部と腹部の内臓の位置))。腹膜が形成する肝鎌状間膜(Mesohepaticum ventrale)が、表面的に大きい右葉と小さい左葉とを分けている。このひだの付近に心臓による浅いくぼみ(心圧痕、Impressio cardiaca)がある。このくぼみは横隔膜自体にも見られる。

肝臓の横隔面(Facies diaphragmatica)は凸面で、2つの部分がある。横隔膜に密着している後方の比較的小さい部分である付着部(Pars affixa)と、腹膜で覆われているより大きい部分である自由部(Pars libera)である。内臓面(Facies visceralis)は平らでなく、全体として凹面をなしている。前縁(Margo ventralis)は鋭い縁である。肝臓の実質は柔らかいため、この器官を取り出して平面上に置くと、その自然な形が著しく失われる。

後部(図138(**肝臓:**横隔面の付着部))には食道による深いくぼみ、すなわち食道圧痕(Impressio oesophagica)があり、さらに肝静脈の開口部である3つまたは2つの大きな孔が見られる。

前縁には臍静脈の閉鎖・退縮によって生じた肝切痕(Incisura hepatis)がある。内臓面も大部分が腹膜で覆われており、ここにいくつかの溝があって、それによっていくつかの部分が区画されている。

これらの溝の1つは横走し、その両端に左右1つずつ矢状方向の溝が続いている。そのため、内臓面の溝の形状はおおむねH字形をなしている。

横走する溝がいわゆる肝門(Porta hepatis)であり、太い血管や胆汁を導く総肝管、神経が肝臓に出入りする場所である。肝静脈だけがここを通らない。血管や総肝管などが右枝と左枝に分かれて肝臓に出入りするが、その両枝は肝門のほぼ両端で見えなくなる。

左側の縦溝は**[左]矢状裂**(Fissura sagittalis [sinistra])といい、肝臓の右葉と左葉の境界をなし、前後の2部からなる。前部は臍静脈索部(Pars chordae venae umbilicalis)といい、胎児および新生児期には臍静脈があったが、後にこの静脈が閉鎖してできた臍静脈索(Chorda venae umbilicalis)がある。この索が左葉と方形葉の境界をなす。両葉の縁を肝臓の実質が橋のようにつないでいることがあり、その場合は溝の一部が管状になる。左の縦溝の後部は静脈管索部(Pars chordae ductus venosi)といい、左葉と尾状葉の境界をなす。胎児期には臍静脈と下大静脈を連ねる静脈管(Ductus venosus)があったが、後にそれが閉鎖した残存物である静脈管索(Chorda ductus venosi)がここに含まれ、この残存物も次第に消失する傾向がある(Böttcher, R., 1923)。

右側の縦溝も前後の2部からなり、この両部の間に尾状突起(Processus caudatus)という肝臓実質からなる1つの突出部がある。縦溝の前部は胆嚢窩(Fossa vesicae felleae)であり、胆嚢を収容するためのくぼみで、鋭い前縁から肝門まで連続している。後部は下大静脈窩(Fossa venae cavae caudalis)といい、下大静脈を完全または不完全に(その程度は様々だが)取り囲んでいる。これが尾状葉と右葉の境界であり、他方では胆嚢窩が方形葉と右葉の境界をなしている。

肝臓の主要な区分右葉(Lobus dexter)と左葉(Lobus sinister)である。左右両葉の境界は、肝臓の凸面では肝鎌状間膜(Mesohepaticum ventrale)の付着部、凹面では[左]矢状裂(Fissura sagittalis [sinistra])となっている。

右葉は左葉の約5倍の大きさがある。中央部には2つの葉、すなわち方形葉(Lobus quadratus)と尾状葉(Lobus caudatus)があり、これらは通常右葉に属するとされる。これら2つの部分より右側にある大きい部分は狭義の右葉と呼ばれる。ただし、v. Eggeling(Morph. Jahrb., 66. Bd., 1931)は方形葉が左葉に属すると主張し、Hjortsjö(1948)は方形葉だけでなく尾状葉の一部も左葉に属すると述べている。

方形葉(Lobus quadratus)は長めの四角形をしており、胆嚢と臍静脈索と肝門の間に位置する。尾状葉(Lobus caudatus)は方形葉よりもさらに強く突出しているが、それよりも小さく、形が不規則である。尾状葉は下大静脈と静脈管索と肝門の間にある。肝門に向かって乳頭突起(Processus papillaris)という円みを帯びた隆起をなしており、肝門と下大静脈窩の間を通る橋状の尾状突起(Processus caudatus)によって右葉と連続している。尾状突起については前述した通りである。乳頭突起に向かい合って左葉に低い隆起があり、小網隆起(Tuber omentale)と呼ばれる。これと乳頭突起との間に小網(Omentum minus)がある(図138(**肝臓:**横隔面の付着部))。左葉の尖った外側端はしばしば著しく萎縮しており、肝線維付属物(Appendix fibrosa hepatis)を形成する。

**変異:**切れ込みが通常より少ないために肝臓の葉の数が減少していることがあり、過剰の切れ込みがあるために葉の数が増加していることもある。Sömmeringは12の葉からなる肝臓について記述している。肝臓の一部が完全に分離しているもの(副肝Nebenleber)は左葉に付属した形で時折見出される。右葉の内臓面に異常な溝が見られることは珍しくない。この溝は内臓面に限局することもあれば、前縁に達することも、さらに横隔面に及ぶこともある(Rathke:Über anormale Furchen an der menschlichen Leber. Diss. Berlin, 1896)。G. Ruge(Morph. Jahrb., 45. Bd., 1913)はさまざまな異常について記載しており、特に左葉が幹葉(Stammlappen)と側葉(Seitenlappen)に分かれていることや、左葉が過大に発達していたり高度に縮小していたりすること、右葉が通常より大きく形成されている例を挙げている。また、右葉の一部が分離して側葉を形成している例(Morph. Jahrb., 46. Bd., 1913)も報告している。これらの変異を説明するには、系統発生学的に肝臓の右葉も左葉もそれぞれ1つの幹葉と1つの側葉から形成されていたという事実が重要である。それらが融合して右葉と左葉が生じたため、人間でこれらが幹葉と側葉に分かれているときは祖先返りとみなされるのである。

135.png

[図135]肝臓、横隔面(2/3)

136.png

[図136] 肝臓:内臓面の中部と陥凹内に含まれる諸器官を示す。(3/4)

137.png

[図137]肝臓の内臓面と他の器官との接触部位

138.png

[図138]**肝臓:**横隔面の付着部(2/3)*右三角間膜

139.png

[図139]肝臓の内臓面(2/3)

140.png

[図140]肝臓の肝小葉の上下断面:概観像

この図の中央に1つの肝小葉があり、その周囲に6つの隣接する肝小葉が部分的に見えている。赤く染色されているのは膠原性結合組織である。

141.png

[図141]1個の肝小葉内の血管分布

血管注入した家兎の肝臓(C. Virchow作)。中心静脈(肝静脈)は赤、門脈は青で示されている。肝小葉の中心部が赤く、辺縁部が青く表現されている。

142.png

[図142]肝小葉の配列 (Kiernanによる)×10

局所解剖 Topographische Anatomie

肝臓の導管(総胆管)Ductus choledochusと胆嚢Vesica fellea

肝臓を被う腹膜(漿膜 Tunica serosa)

肝臓の位置を固定するもの Fixierung der Leber

肝臓の血管とリンパ管 Blutgefäße und Lymphgefäße der Leber

胆汁 Fel (Bilis), Galle