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目次(IV. 内臓学)

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図113(腺腹)

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図136(肝臓:内臓面の中部と陥凹内に含まれる諸器官を示す)

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図138(**肝臓:**横隔面の付着部)

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図139(肝臓の内臓面)

肝臓に血液を導く2つの主要な血管がある。それは固有肝動脈(A. hepatica propria)と門脈(V. portae)である。固有肝動脈は径がわずか5〜6mmで、肝臓の大きさに比べるとかなり細い。この動脈は肝門に入る前にいくつかの枝を出し、肝門で左枝(Ramus sinister)と右枝(Ramus dexter)に分かれ、それぞれ左葉と右葉に分布する。右枝からは胆嚢動脈(A. vesicae felleae)が分岐し、胆嚢に向かう。

肝臓自体に分布する肝動脈の枝は、器官内部で小葉間動脈枝(Rami arteriosi interlobulares)という多数の小枝に分かれる。これらが肝臓内部の結合組織、その結合組織に包まれた脈管の枝、肝臓の実質自体、および漿膜に動脈血を供給する。

肝臓に血液を導く第2の血管である門脈は非常に太く(径16mm)、肝臓に入る血液の大部分はこれを通る。静脈が血液を運び込むという点で、肝臓は他のすべての器官と大きく異なっている。

門脈は腹腔内の消化器からほぼすべての静脈が合流することによって形成される。具体的には、胃・腸・脾臓・膵臓からの静脈によって構成される。ただし、直腸末端部の血液のみが下大静脈に流入する。門脈は肝臓の内臓面の横溝に入り、そこで肝動脈と同様に右枝(Ramus dexter)と左枝(Ramus sinister)という2つの主枝に分岐する。

胆嚢の静脈は全体の10%のみが門脈に開口し、78%は直接肝臓実質に入り毛細管に移行する(Petrén, Stockholm 1933)。門脈の左枝は、臍静脈またはその閉鎖後の遺残である臍静脈索(Chorda venae umbilicalis)と連結している(図110(ウサギの胃底腺の腺底における傍細胞の分泌細管:豊富な食餌を与えて4時間後)、111(ウサギの胃底腺の腺底における傍細胞の分泌細管:24時間絶食させた後)図136(肝臓:内臓面の中部と陥凹内に含まれる諸器官を示す))。一方、門脈の左枝から静脈管索(Chorda ductus venosi)が伸び、これは肝静脈の左側の1本か、あるいは直接下大静脈に連続している(図136(肝臓:内臓面の中部と陥凹内に含まれる諸器官を示す))。(胎児の循環の項を参照)

肝動脈と門脈は総胆管とともに小網の肝十二指腸部の右側縁内に包まれている。これらの血管は多数のリンパ管や神経を伴って肝門に至り、肝臓内に入る。その際、肝被膜(Capsula hepatis)という結合組織の1層がこれらの脈管などを取り巻き、この被膜は肝門の外側でもすでにそれらを包んでいる。

肝静脈(Vv. hepaticae, Lebervenen)は肝臓から血液を排出するもので、上述の血管とは全く異なる経路を通る。これは付着部で肝臓から出て、下大静脈窩の底で2〜3本の幹となって終わり、下大静脈が横隔膜の静脈孔を通過する直前で合流する(図166(十二指腸・膵臓・脾臓および後腹壁の諸器官の自然な位置を示す図))。

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図110(ウサギの胃底腺の腺底における傍細胞の分泌細管:豊富な食餌を与えて4時間後)、111(ウサギの胃底腺の腺底における傍細胞の分泌細管:24時間絶食させた後)

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図136(肝臓:内臓面の中部と陥凹内に含まれる諸器官を示す)

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図166(十二指腸・膵臓・脾臓および後腹壁の諸器官の自然な位置を示す図)

肝臓のリンパ管には浅層と深層があり、両者は肝臓全体で相互に連絡している。深層リンパ管は肝小葉内で毛細血管周囲のリンパ腔として始まり、血管と共に走行して肝門から出る。そこで内臓面の浅層リンパ管および横隔面の一部からのリンパ管と合流し、腹腔リンパ節へ向かう。

横隔面のリンパ管はいくつかの群を形成している。肝臓中部からは5〜6本の小幹が肝鎌状間膜に至り、1本の幹に合流して、横隔膜の胸骨部と肋骨部の筋束間を通って前縦隔リンパ節に達する。第2群は右方へ右三角間膜に進み、1〜2本の小幹に合流して横隔膜を貫き、その上面を内側に進んで胸管に入る。第3群は肝臓左葉から出て左三角間膜で少数の小幹にまとまり、横隔膜を貫いて前縦隔リンパ節に達する。肝臓前縁付近のリンパ管は内臓面のリンパ管と合流して肝門へ向かう。

肝臓の神経 Die Nerven der Leber

肝臓および胆嚢の微細構造 Feinbau der Leber und der Gallenblase