喉頭蓋 Epiglottis

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J0639 (頭頚部の正中矢状断:左側からの右半分の図)

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J0659 (舌:上方からの図)

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J0662 (新生児の舌を正中付近で矢状断した図)

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J0678 (咽頭:後方からの図)

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J0737 (喉頭とその靭帯:右側からの図)

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J0738 (喉頭筋:右側からの図)

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J0739 (内側の喉頭筋:右側からの図)

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J0740 (喉頭筋:後方からの図)

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J0742 (静かに息を吸うときの喉頭の喉頭鏡像)

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J0743 (喉頭口と喉頭腔:上方からの図)

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J0745 (喉頭の前頭断、前半部:後方からの図)

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J0763 (甲状腺、近隣の臓器に対する位置:背面からの図)

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J0923 (頚部の右迷走神経:右側からの図)

1. 解剖学的特徴

喉頭蓋は、喉頭口の前壁を形成する葉状の軟骨性構造物で、粘膜で覆われ、舌根の背側に位置しています(Standring, 2020)。解剖学的には喉頭蓋軟骨(cartilago epiglottica)と、それを覆う粘膜から構成されています。喉頭蓋は基部で甲状軟骨の内面に甲状喉頭蓋靭帯(ligamentum thyroepiglotticum)により付着し、舌との間には正中舌喉頭蓋ヒダ(plica glossoepiglottica mediana)と両側に側舌喉頭蓋ヒダ(plicae glossoepiglotticae laterales)が存在します。これらのヒダの間に形成される陥凹を梨状窩(vallecula epiglottica)と呼びます(Drake et al., 2019)。

2. 組織学的構造

喉頭蓋軟骨は弾性軟骨からなり、柄部(petiolus)と葉部(lamina)に分けられます(Mescher, 2021)。その形状は成人では靴べらや葉状を呈し、喉頭面(facies laryngea)と舌面(facies lingualis)を持ちます。喉頭蓋の粘膜下には多数の小唾液腺(喉頭蓋腺)が存在し、粘液を分泌しています。神経支配は主に上喉頭神経の内枝(迷走神経由来)が感覚を担い、血液供給は主に上甲状腺動脈と舌動脈から得ています(Moore et al., 2022)。

3. 機能と臨床的意義

臨床的には、喉頭蓋の主要な機能は嚥下時に喉頭口を閉鎖し、食物や液体が気道に入るのを防ぐことです(Logemann, 2018)。嚥下の際、舌骨および喉頭が上前方に挙上し、喉頭蓋は受動的に後方へ倒れることで気道を保護します。喉頭蓋炎(epiglottitis)は主に細菌感染(特にHaemophilus influenzae type b)により生じる緊急性の高い疾患で、喉頭蓋の腫脹から急速な気道閉塞をきたす可能性があります(Glynn and Ferkol, 2018)。また、喉頭蓋は気管挿管の際の重要な解剖学的指標となり、ミラーやマッキントッシュ喉頭鏡を用いた直接喉頭鏡検査でも観察される重要な構造物です(Hagberg et al., 2021)。

4. 発生学的観点

喉頭蓋は発生学的に鰓弓由来の構造であり、第4咽頭弓から発生します(Sadler, 2019)。胎生期において、喉頭蓋は咽頭前壁の間葉組織から発達し、初期には喉頭入口の前部に小さな隆起として現れます。発生過程において喉頭蓋の形態は変化し、出生後も成長とともに変化することが知られています(Sañudo and Vázquez, 2018)。

5. 比較解剖学

喉頭蓋は哺乳類に特有の構造であり、他の脊椎動物には見られません。これは哺乳類特有の嚥下メカニズムと密接に関連しています(Smith, 2018)。種によって喉頭蓋の形状や大きさは異なり、この違いは各種の摂食習慣や発声機能と関連していると考えられています。特に水中哺乳類では、喉頭蓋が特殊化し、気道保護の機能が強化されています(Reidenberg and Laitman, 2020)。

6. 参考文献