
J0175 (右上腕骨とその筋の起こる所と着く所:前方からの図)

J0176 (右上腕骨と筋の起こる所と着く所:後方からの図)

J0184 (右前腕骨:筋の起こる所と着く所:回外位の手の裏側からの図)

J0206 (右の手骨:および筋の起こる所と着く所を示すの背面からの図)

J0461 (右上腕の筋:橈側からの図)

J0468 (右上腕の筋:背面図)

J0470 (右上腕の筋(深層):背面図)

J0471 (右前腕の筋:前面からの図)

J0472 (右前腕の筋:手掌側からの図)

J0473 (右前腕の筋(第2層):掌側図)

J0474 (右前腕の筋(第3層):掌側図)

J0476 (右前腕の筋:橈側からの筋)

J0477 (右前腕の筋:背面図)

J0478 (右前腕の筋:背面図)

J0479 (右前腕の筋(深層):背面図)

J0480 (右手の背面)

J0579 (右前腕第2層の動脈:手掌側図)

J0580 (右前腕の動脈:背面図)

J0942 (右前腕の神経、深い層:前面からの図)

J0947 (右上腕の筋神経:後方からの図)

J0948 (右前腕の筋肉の神経、後外側からの図)
長橈側手根伸筋 Musculus extensor carpi radialis longus
長橈側手根伸筋は、前腕後区画(伸筋区画)の表層に位置する重要な筋肉であり、手関節の伸展と橈側偏位に中心的な役割を果たします。以下に解剖学的構造と臨床的意義について詳述します。
解剖学的構造
起始と停止
- 起始:上腕骨外側上顆の約3-5cm近位の外側縁から起こり、外側上腕筋間中隔の下部からも線維が発します。この起始部は腕橈骨筋の起始部と近接しており、共通の腱膜性起始を共有することがあります(Cleland et al., 2012; Standring, 2016)
- 停止:第2中手骨底の背側面の橈側結節に停止します。この停止部は手関節の伸展と橈側偏位の両方に効率的な力学的アドバンテージを提供する位置にあります(Agur and Dalley, 2017)
神経支配と血液供給
- 神経支配:橈骨神経(C6, C7神経根由来)により支配されます。橈骨神経は肘関節レベルで深枝(後骨間神経)と浅枝に分岐する前に、長橈側手根伸筋への枝を出します。これにより、後骨間神経障害があっても長橈側手根伸筋の機能は保たれることが多いという臨床的特徴があります(Spinner, 2003)
- 血液供給:主に橈側反回動脈(上腕深動脈または橈骨動脈から分岐)により栄養されます。さらに、橈骨動脈からの筋枝も血液供給に寄与します(Taylor and Razaboni, 1994)
走行と隣接構造
- 筋の上部は腕橈骨筋に完全に覆われており、外側から直接触知することはできません
- 外側上顆レベルで筋は外側に曲がり、その深層で短橈側手根伸筋の近位部を覆います。両筋は密接に位置しており、外科的剥離が困難な場合があります
- 前腕近位1/3のレベルで筋腹から腱への移行が始まり、前腕中央部では完全に腱性となります
- 前腕遠位部では、腱は長母指外転筋と短母指伸筋の筋腹を斜めに交差します。この交差部は「橈骨動脈の茎状突起付近での走行」の重要な解剖学的ランドマークとなります
- 手関節レベルでは、伸筋支帯下の第2腱区画を短橈側手根伸筋腱と共に通過します。この区画は橈骨遠位端の背側隆起(Lister結節)の橈側に位置します(Tubbs et al., 2016)
- 腱は解剖学的嗅ぎタバコ入れ(anatomical snuffbox)の橈側境界を形成し、長母指外転筋腱および短母指伸筋腱とともに重要な表面解剖学的指標となります
機能と生体力学
- 主要機能:手関節の伸展(背屈)が主要な作用です。第2中手骨への停止により、純粋な伸展よりも橈側偏位を伴った伸展を生じさせる傾向があります
- 補助機能:手関節の橈側偏位(外転)を補助します。特に手関節が軽度屈曲位にある場合、この作用が顕著になります