オトガイ舌骨筋 Musculus geniohyoideus
概要
オトガイ舌骨筋は、口腔底を構成する短い対性筋で、顎舌骨筋の上方(口腔側)に位置し、舌骨の運動と嚥下機能に重要な役割を果たします (Drake et al., 2020; Standring, 2021)。

J0065 (下顎の右半分、筋の起こる所と着く所:内側からの図)

J0074 (舌骨、筋の起こる所と着く所:上方からの図)

J0075 (舌骨、右半分、筋の起こる所と着く所:左方からの図)

J0421 (舌骨筋(深層):前面図)

J0422 (口腔底の筋:口腔側からの図)

J0558 (喉頭と舌の動脈:右側からの図)

J0639 (頭頚部の正中矢状断:左側からの右半分の図)

J0640 (頭部の前頭断、後方からの図)

J0660 (舌筋:右側からの図)

J0662 (新生児の舌を正中付近で矢状断した図)

J0919 (右側の舌神経:右方からの図)
1. 解剖学的特徴
1.1 起始・停止・走行
- 起始:下顎骨のオトガイ棘(genial tubercle)の下部。オトガイ棘は下顎骨正中部の内側面に存在する小隆起で、上下2対の棘状突起からなり、下側の棘がオトガイ舌骨筋の起始部となります (Moore et al., 2019)
- 停止:舌骨体の前面。一部の線維は舌骨体の下縁にも付着します
- 走行:筋は前後方向にほぼ水平に走行し、下顎骨から舌骨へと後下方に向かいます。筋の長さは約2-3cmです (Netter, 2019)
1.2 形態学的特徴
- 左右一対の細長い円柱状の筋で、正中線に沿って平行に走行します
- 両側の筋はしばしば正中で完全に癒合し、単一の筋として機能します (Standring, 2021)
- 筋の幅は約5-8mm、厚さは約3-5mmです
- 筋線維は主に速筋線維(タイプII線維)で構成され、急速な収縮に適しています (Sinnatamby, 2018)
1.3 位置関係と周囲構造
- 上方(口腔側):
- 顎舌骨筋が広く覆っています
- オトガイ舌筋が正中部で接します
- 舌下腺と舌下神経が外側を走行します (Drake et al., 2020)
- 下方(頸部側):
- 顎二腹筋前腹が浅層に位置します
- 顎下腺とその導管が外側に接します
- 外側:
- 顎舌骨筋が外側境界を形成します
- 舌神経と舌下神経が通過します
- 内側:
1.4 神経支配