恥骨結合 Symphysis pubica

J0325 (右の骨盤の靱帯:前面から少し上からの図)

J0328 (恥骨結合および右骨盤半分とその靱帯:前下方からの図)

J0329 (恥骨結合:前面切開、後部切片、前面からの図)

J0490 (腰部の筋:腹側図)

J0491 (右の鼡径部の筋膜:腹側からの図)

J0590 (男性右側の閉鎖動脈と下腹壁動脈:左側からの図)

J0591 (男性右側の閉鎖動脈(破格))

J0592 (右側の閉鎖動脈の末端分枝(男性の骨盤):腹側からの図)

J0594 (女性骨盤の動脈:左前方からの図)

J0727 (男性の正中矢状断での腹膜の経過:赤色、やや模式的に示している)

J0787 (男性の骨盤臓器の正中矢状断:左側からの右半分の図)

J0797 (女性の骨盤臓器の正中矢状断面:左側からの右半分の図)

J0799 (女性の前庭球と尿生殖三角:下方からの図)

J0801 (男性の肛門挙筋:上面からの図)

J0803 (男性の右側肛門挙筋と尿生殖三角:後上方からの図)

J0804 (男性の尿生殖三角筋:下方からの図)

J0807 (恥骨前立腺靭帯:上後方からの図)

J0961 (右側の骨盤の神経:左方からの図)
恥骨結合は、骨盤環の安定性に寄与する重要な解剖学的構造です。以下にその解剖学的特徴と臨床的意義を詳述します(Gray and Standring, 2020; Moore et al., 2018):
解剖学的特徴
- 位置と構造:骨盤前面の正中線上に位置し、左右の恥骨体が向かい合って形成される二次性軟骨結合です(Netter, 2019)。
- 構成要素:
- 関節面:両側の恥骨結合面は厚さ約2mmの硝子軟骨で覆われています(Becker et al., 2010)。
- 恥骨間円板(Discus interpubicus):両恥骨間に存在する線維軟骨性の構造で、中央部に小さな空隙(恥骨腔)を含むことがあります(Gamble et al., 1986)。
- 厚さ:前方で約3–5mm、後方で約1–3mmと前方が厚い楔形をしています(Becker et al., 2010)。
- 靭帯装置:
- 上恥骨靭帯(Lig. pubicum superius):恥骨結合の上縁を補強し、左右の恥骨を連結します(Standring, 2020)。
- 恥骨弓靭帯(Lig. arcuatum pubis):恥骨結合の下縁で左右の恥骨下枝を結び、恥骨下角を滑らかに連結して恥骨弓を形成します(Netter, 2019)。
- 前恥骨靭帯(Lig. pubicum anterius):恥骨結合の前面を補強する線維束です(Moore et al., 2018)。
- 後恥骨靭帯(Lig. pubicum posterius):恥骨結合の後面を補強する線維束です(Moore et al., 2018)。
- 微細構造:その基本構造は椎間板に類似し、外層の線維輪と内層の髄核様構造を持ちます(Becker et al., 2010; Gamble et al., 1986)。
生理学的特性
- 可動性:通常は非常に限られた可動性を持ちますが、女性では妊娠ホルモン(特にリラキシン)の影響で弾力性が増します(Aldabe et al., 2012)。
- 妊娠時の変化:妊娠後期には結合組織が水分を含んで柔軟化し、恥骨間距離が平均で3–4mm拡大します(Björklund et al., 1999)。
- 分娩時の役割:弛緩した恥骨結合は産道径を拡大し、胎児頭部の通過を容易にします(Aldabe et al., 2012)。
臨床的意義
- 恥骨結合炎(Symphysitis pubica):
- 妊娠関連性:妊娠後期や産後に生じる恥骨部痛で、過度の恥骨結合の弛緩や不安定性が原因です(Rost et al., 2006)。
- 運動関連性:長距離走者や特定のスポーツ選手に見られる過用症候群としても発症します(Mehin et al., 2006)。
- 恥骨結合離開(Diastasis symphysis pubica):
- 定義:恥骨間距離が10mm以上開大した状態を指します(Yoo et al., 2014)。
- 原因:分娩時の過度の力、外傷、骨盤骨折などが原因となります(Kharrazi et al., 2001)。
- 症状:激しい恥骨部痛、歩行困難、立位での不安定感などを呈します(Yoo et al., 2014)。
- 画像診断:X線、CT、MRIによって評価され、正常な恥骨間距離は非妊娠女性で約4mm、男性で約6mmとされています(Becker et al., 2010)。
- 治療アプローチ:安静、骨盤ベルト装着、物理療法、重症例では外科的固定が必要となる場合があります(Mehin et al., 2006; Rost et al., 2006)。
「Symphysis」という用語は、ギリシャ語の「sym(一緒に)」と「physis(成長する)」に由来し、「自然に癒合したもの」を意味します。解剖学では線維軟骨結合を指す一般名詞ですが、単に「symphysis」と言えば、特に恥骨結合を指すことが多いです(Standring, 2020)。
参考文献
書籍