恥骨結合

恥骨結合は、骨盤前面で左右の恥骨が正中線上で向かい合ってできる連結部分です。両側の恥骨結合面は、薄い軟骨で覆われ、その間に線維軟骨でできる恥骨間円板が連結します。この構造は、椎間円板の線維輪に似ています。女性では、妊娠時にこの結合が弱められ、新生児の頭の産道通過を助けることが知られています。また、モルモットなどでは女性ホルモンの投与により、実験的にこの結合を弱めることができます。この結合には、以下の靭帯が付属しています。(1)上恥骨靭帯:恥骨結合の上縁で左右の恥骨を結びます。(2)恥骨弓靱帯:恥骨結合の下縁で左右の恥骨下枝を結び、恥骨弓をつくります。下面で尿生殖膜との間隙を陰茎静脈が通ります。 Symphysisは、syn(一緒に)physis(生える)からきて、「自然に癒合したもの」という意味です。解剖学用語としてのsymphysisは、線維軟骨結合という一般名詞ですが、慣用的には形容詞なしでも、恥骨結合を指すことが多いです。正しい読み方はスィンフィスィスです。

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J0328 (恥骨結合および右骨盤半分とその靭帯:前下方からの図)

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J0329 (恥骨結合:前面切開、後部切片、前面からの図)