関節包 Capsula articularis
関節包は、関節を取り囲む結合組織性の袋状構造で、関節の構造的・機能的統合性を維持する上で中心的な役割を果たしています(Gray et al., 2020)。

J0296 (後頭骨と第1から第3の頚椎は、前方から見ると靱帯と結合する)

J0297 (後頭部、環椎、軸椎とその靱帯:後方からの図)

J0299 (後頭骨、第1および第2頚椎とその靭帯(第3層):後方からの図)

J0300 (後頭骨、最初と二番目の頚椎(第4層):後方からの図)

J0301 (後頭骨および第1から第3の頚椎、靱帯(第二層):後方からの図)

J0324 (右手の第3指の中手骨と関節、および靱帯、橈骨側からの図)
解剖学的構造
基本構造と付着部位
- 関節包は骨膜の直接的な延長として形成され、関節を構成する各骨の関節軟骨周縁部に付着します(Standring, 2021)。
- 通常、関節軟骨の縁から数ミリメートル離れた骨表面に付着し、これにより関節の可動域が最適化されます(Ralphs and Benjamin, 1994)。
- 関節腔(articular cavity)を完全に包囲し、密閉された空間を形成することで、関節内環境を外部から保護します。
- 付着部位は関節ごとに異なり、例えば股関節では寛骨臼の辺縁と大腿骨頸部に、膝関節では脛骨と大腿骨の骨幹端部に付着します。
組織学的構成
関節包は組織学的に2つの明確に異なる層から構成されています(Pacifici et al., 2018):
- 外側の繊維層(stratum fibrosum):
- 主に密な不規則結合組織(dense irregular connective tissue)で構成されます。
- I型コラーゲン線維が主体で、これらの線維は多方向に配列し、引張強度と機械的保護を提供します。
- 線維芽細胞が散在し、細胞外基質の維持と修復を担当します。
- 関節によっては、この層が局所的に肥厚して靱帯構造(例:大腿骨頭靱帯、膝関節の側副靱帯)を形成します(Sophia Fox et al., 2009)。
- 力学的ストレスが高い部位では、補強靱帯が発達し、関節包の強度がさらに増強されます。
- 内側の滑膜層(stratum synoviale):
- 高度に血管化された疎性結合組織(loose connective tissue)で構成されます。
- 滑膜細胞(synoviocytes)が1〜3層の細胞層を形成し、関節腔に面しています。
- 滑膜細胞には2種類あります:
- A型滑膜細胞(マクロファージ様細胞):食作用により関節腔内の debris を除去します。
- B型滑膜細胞(線維芽細胞様細胞):滑液の主成分であるヒアルロン酸や潤滑蛋白質(lubricin)を産生します(Jay et al., 2007)。
- 豊富な毛細血管網により、滑液成分の血漿からの濾過と関節軟骨への栄養供給が可能となります。
- リンパ管も豊富に分布し、関節腔内の代謝産物の排出を担います。
神経支配と固有受容
- 関節包、特に繊維層には豊富な神経終末が分布しています(Solomonow, 2006)。
- 機械受容器(mechanoreceptors)が含まれ、これらは関節の位置、動き、圧力を感知します:
- ルフィニ終末(Ruffini endings):関節の静的位置と動的変化を感知。
- パチニ小体(Pacinian corpuscles):急速な圧力変化と振動を感知。
- ゴルジ腱器官様終末:関節包の張力を感知。
- 自由神経終末:侵害受容(痛覚)を担当。
- これらの固有受容器は、関節位置感覚(proprioception)を提供し、神経筋制御システムに不可欠な情報を中枢神経系に伝達します。
力学的特性