膝蓋骨

膝蓋骨は、膝関節の前面に位置し、尖端を下方に向けた扁平な栗の実に似た骨です。幅広い上端部が膝蓋骨底であり、尖った下端部が膝蓋骨尖です。大腿四頭筋腱中に発生した種子骨とされ、上縁には大腿直筋と中間広筋の内側縁には内側広筋の、外側縁には外側広筋の腱が付着します。前面は凸面状で、大腿四頭筋腱による縦に走る小隆起を伴う粗面があり、小血管孔も存在します。後面には、上方の広い卵形の平滑な面と、下方の小さい逆三角形の粗な面があります。平滑な面は、大腿骨の膝蓋面に対する関節面を形成し、中央部にある縦方向の隆起によって内側部と外側部に分かれます。下方の粗面の下端には膝蓋靭帯が付着しますが、粗面の上方部には脂肪組織が存在し、脛骨と膝蓋骨とを隔てます。この骨の名前は、ラテン語のPatera(皿・円板状の)の縮小形から派生しています。

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J0241 (右の膝蓋骨:前方からの図)

J0242 (右の膝蓋骨:後方からの図)

日本人のからだ(平田和明 2000)によると

膝蓋骨は、膝関節の前部に位置する小さな三角形の骨で、大腿四頭筋の腱と脛骨の間に位置します。その主な機能は、膝関節の動きを保護し、大腿四頭筋の力を脛骨に効率的に伝えることです。また、膝蓋骨は膝関節の可動範囲を増加させ、関節の安定性を向上させ、大腿四頭筋の力を増加させる役割も果たします。

膝蓋骨の上外側縁に生じる切痕を膝蓋骨切痕と言います(図42)。加藤・原田(1959)によれば、現代人の140側中60側(42.9%)に出現します。Morimoto (1975)は、縄文時代人では90%以上の出現率であるが、時代が進むにつれて減少し、現代人では61%であると報告しました。彼は大腿四頭筋の発達度と成長期の栄養不良がその成因に関連する可能性を指摘しています。

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図42 膝蓋骨切痕

図42 膝蓋骨切痕