転子間稜 Crista intertrochanterica
転子間稜は、大腿骨近位部後面に位置する顕著な骨性隆起であり、解剖学的・臨床的に極めて重要な構造です(Drake et al., 2019; Standring, 2020)。

J0229 (右の大腿骨:後方からの図)

J0230 (右大腿骨、内側からの図)

J0236 (右大腿骨、近位端、第三転子(破格):後方からの図)

J0331 (右の股関節:後方ろからの図)

J0332 (右股関節:後方からの図)

J0379 (右の股関節部:大腿は伸ばされて少し内側に巻かれ、腹背方向からのX線像)

J0493 (右骨盤の筋:外側から遠位の図)
解剖学的特徴
位置と形態
- 大転子(greater trochanter)と小転子(lesser trochanter)を後方で結ぶ著明な隆起線(Netter, 2018)
- 大腿骨の後面に位置し、大腿骨頸部と骨幹部の境界を明確に形成する(Moore et al., 2021)
- 横断面では三角形の形状を呈し、厚みのある骨性構造を持つ(Standring, 2020)
- 長さは約30-40mmで、個人差がある(Agur and Dalley, 2022)
表面解剖学的特徴
- 転子間稜の中央部には粗面(quadrate tubercle)が存在することが多く、触知可能な骨性隆起を形成(Moore et al., 2021)
- この粗面は大腿方形筋の付着部となり、筋肉の牽引力により骨組織が肥厚している(Standring, 2020)
- 転子間稜は前方の転子間線(intertrochanteric line)と対をなし、大腿骨頸部を囲む重要な境界構造を形成(Drake et al., 2019)
血管供給
- 内側大腿回旋動脈(medial femoral circumflex artery)の枝により栄養される(Standring, 2020)
- 外側大腿回旋動脈(lateral femoral circumflex artery)の上行枝も一部に血液を供給(Moore et al., 2021)
- 豊富な血管網により骨折治癒能は比較的良好である(Parker and Handoll, 2010)
筋肉付着部
主要な付着筋
- 大腿方形筋(m. quadratus femoris):転子間稜の中央部、特に粗面に強固に付着し、股関節の外旋と伸展に関与(Moore et al., 2021)