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片山正輝

目次(V. 神経系)

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(図061(唾液腺II )図517(**下顎神経の分枝:**外側から描写。また、顔面に分布する眼神経と上顎神経の枝も示す)図518(耳神経節とその結合(内側面からの描写))図524(交感神経幹上部・舌咽神経・迷走神経・副神経・舌下神経)図525(頚部の神経)図536(頚部の神経と血管(深層)) )

舌神経は外側翼突筋と内側翼突筋の間を顎動脈の内側面に沿って下行し、前述の下歯槽神経の前内側に位置する(図517(**下顎神経の分枝:**外側から描写。また、顔面に分布する眼神経と上顎神経の枝も示す)図518(耳神経節とその結合(内側面からの描写)))。内側翼突筋の前縁から、前上方に凹む緩やかな弓を描きながら曲がり、まず顎下腺の上を通過し、次いで顎舌骨筋の上を越えて舌の外側縁に到達する。そこで舌骨舌筋の外面に達し、舌骨舌筋とオトガイ舌筋の間で舌の内部に枝を放散する(図524(交感神経幹上部・舌咽神経・迷走神経・副神経・舌下神経))。舌の外側縁では粘膜のすぐ下に位置し、この神経の外側でその上方を通過する顎下腺管Ductus submandibularisと交差する。

結合Verbindungen:a) 下歯槽神経から斜めに下行し、舌神経に達する1枝が下歯槽神経との結合を示す。b) 鼓索神経Chorda tympani(図518(耳神経節とその結合(内側面からの描写))図520(顔面神経の骨管内走行とその結合関係を外側から剖出した図))との結合。鼓索神経は錐体鼓室裂から出て、斜めに下前方に進み舌神経と鋭角をなして合する。

鼓索神経によって舌神経に導かれた線維は舌神経内を進み、舌の前方部ならびに顎下神経節と顎下腺に達する。生理学的には、鼓索神経は一部が顔面神経の中間神経に至る求心性線維で味覚を司り、一部は顎下腺と舌下腺への遠心性分泌線維からなる(図499(味覚伝導の経路、涙腺と唾液腺への神経伝導の経路))。

c) 舌神経が顎下腺の上方を通過する際、短い枝によって顎下神経節Ganglion submandibulareと結合する。

d) 舌骨舌筋の外面で舌神経は1本または2本の小枝、すなわち舌下神経との交通枝Rami communicantes cum nervo hypoglossoによって舌下神経N. hypoglossusの終枝の1つと弓状に結合する。

このように舌下神経は舌内でその終末分布Endausbreitungのための知覚性線維を受け、またはその知覚性線維が舌下神経内をさらに中心方向にzentralwärts進み、この神経が頭蓋腔から出る時点ですでに知覚性を持つ原因となる。

:1. 舌神経はなお内側翼突筋に覆われている部位で、若干の細い枝を口腔底の粘膜後部に出す。これが口蓋枝Rr. palatiniである。

  1. 舌下腺の後縁で舌神経から舌下枝N. sublingualisが出る。これは舌下腺の外側面に接して前方に進み、一部は舌下腺に、一部は口腔底の粘膜に、また一部は歯肉の前方部に細い枝をもって分布する。

舌下腺に入る線維は顎下神経節ならびに後述する神経細胞の特殊な群から発している。後者はこの神経の枝内に散在し、時に1つの神経節、すなわち舌下神経節Ganglion sublingualeを形成することがある。

  1. 舌枝Rami linguales(図524(交感神経幹上部・舌咽神経・迷走神経・副神経・舌下神経) )。この枝は舌神経の終枝で、舌の前半に至るものであり、その数が多い。舌枝は舌背、舌の外側縁および舌尖の粘膜に広がり、特に茸状乳頭Papillae fungiformesと糸状乳頭Papillae filiformesに終わる。舌枝は一部が三叉神経からの単純な知覚性線維を、一部が鼓索神経からの味覚線維を導いている。

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[図518] 耳神経節とその結合(内側面からの描写)(Fr. Arnold作).3/4

右側図:蝶形骨を卵円孔付近で切断し、側頭骨錐体部を中耳を通って切除した。顎関節を内側から露出させ、内側翼突筋の一部を除去している。