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この組織は、第四脳室の上皮性被覆(epitheliale Decke)とその上に付着する軟膜層(Pialamelle)から構成される。側方は菱脳ヒモに、前方は後髄帆に達している。脈絡組織の底部は上方にあり、後髄帆に沿って片葉柄まで伸びる。つまり、底部は左右の片葉柄の間に位置し、幅広く、中央の付着点として下虫の虫部小節を有する。この脈絡組織の尖端は第四脳室の下端に位置する。
この組織には、各側に1つずつの外側脈絡叢(seitlicher Plexus)と、一見対をなさないように見える中央脈絡叢(mittlerer Plexus)がある。外側脈絡叢は虫部小節から側方に伸び、第四脳室外側陥凹に達する。中央脈絡叢は互いに並行する2本の条からなり、虫部小節から後方に進み、菱脳正中口から外に出て、さらにある程度の長さにわたって下虫に接して上っている。これらを総称して第四脳室脈絡叢(Plexus chorioideus ventriculi quarti)と呼ぶ。
第四脳室脈絡組織には二次的に形成された2種類の孔がある。中央にある1つは菱脳正中口(Apertura mediana rhombencephali)、側方にある2つは第四脳室外側陥凹に位置する菱脳外側口(Aperturae laterales rhombencephali)である。
菱脳正中口は脳室蓋の後部、閂のすぐ前に位置する。両側の菱脳外側口は第四脳室外側陥凹の両端を占める。
これらの孔の機能は、脳室内の脳脊髄液(Liquor encephalicus)の圧力調整を容易にすることである。脳内部の髄液がこれらの孔を通ってクモ膜下腔のリンパ液と混ざり、脳脊髄液となる。一方、脈絡叢(Plexus chorioidei)の主な役割は脳脊髄液の分泌である。脳室壁と中心管の上衣細胞も髄液の形成に関与している可能性がある。
ただし、一部の研究者は脈絡叢が吸収機能を持つとも主張している。
中枢神経系は血液中の多くの物質から保護されている。この障壁(血液脳関門)の役割を果たしているのは、主に血管の内皮細胞であると考えられる。ただし、その遮断能力は年齢や身体の状態によって変化する。
脈絡叢の絨毛は、線維の乏しい結合組織、それを被う上皮、およびその中に包まれた血管から構成されている。上皮は主に単層の低円柱状であるが、一部では2層以上の重層構造も見られる。絨毛内部では、流入する動脈と流出する静脈が豊富な毛細血管網を形成している。脈絡叢の絨毛は1~2mmの長さを持ち、いくつかの第二次突起(長さ0.4mm)に分かれ、さらにそれぞれが小さな第三次小葉(長さ0.07mm)を形成している。
ここで、これまでたびたび言及してきた脳の紐(Taenien des Gehirnes)、すなわち脈絡組織ヒモ(Taeniae telae)(c) 第四脳室 Ventriculus quartus, IV. Ventrikel、II. 視床 Thalamus、b)頭頂部(中心部) pars parietalis、脳弓(弓隆)Fornix, Gewölbe )について概括的にまとめる。
髄ヒモ(Taenia medullaris)は松果体(図418(第三脳室、大脳基底核と脳幹の一部、四丘体、小脳の上面) )から始まり、両側で髄条の自由縁に沿って前方へ進む。
この髄ヒモは第三脳室脈絡叢の下面を被う狭い上皮板に連続する。室間孔に達すると後方に曲がり、視床脈絡ヒモとなる。視床脈絡ヒモは海馬足の前端で采ヒモに移行し、さらに采ヒモは脳弓ヒモへと続く。
柔膜の血管は主に脳へ分布し、柔膜自体のためのものではない。その動脈の起源は内頚動脈と椎骨動脈である(第1巻参照)。柔膜のリンパ管については既述の通りである(c)脊髄柔膜 Pia mater spinalis )。
Stöhrによれば、柔膜と脈絡叢の神経は交感神経と副交感神経に由来する。交感神経は頚動脈神経叢と椎骨動脈神経叢から、副交感神経は動眼神経、外転神経、舌咽神経、迷走神経、副神経、舌下神経から来る。さらに、橋と大脳脚からも直接の枝が来ている。神経分布は脳底部で特に豊富である。観察される終末には3種類ある:1. 様々な形態の終末膨大部(c)脊髄柔膜 Pia mater spinalis 参照)、2. 触覚小体(マイスネル小体)とそれに類似した終末装置、3. 終末分枝叢。
Imamura, Sh., H. Obersteiners Arbeiten,8. Bd.,1902.--Stöhr, Ph., Über die Innervation der Pia mater und des Plexus chorioideus des Menschen. Z. Zellforsch., 30. Bd.,1939.
[図450]第三脳室脈絡組織とその周囲を通る横断面(W. His1895)
II 側脳室;III 第三脳室;C.c. 脳梁;F 脳弓(弓隆):Th 視床;St. m. 髄条;St. t. 分界条;V. t. 視床線条体静脈;L 付着板. 1 髄ヒモ;2 視床脈絡ヒモ;3 脳弓ヒモ.この図はこれらの3紐が脈絡叢の上皮層に移行することを示す。
[図451]側脳室脈絡叢:下角部位
海馬足と側脳室下角の前額断面図(2倍拡大)
v. l. 側脳室の下角;sub. 海馬傍回;c. A. 海馬足。脳室面はdからcまで白い髄質板で覆われ、この髄質板は海馬采fiへ移行する。aとbの間では脈絡叢p. ch. が脈絡壁(Paries chorioideus、Zottenplatte:R. Wetzel)を形成している。外部に露出している面を覆う軟膜の連続は点線で示されている。n. c. 尾状核尾;f 歯状回;g 退行髄板(白網様質へ続く)。
[図452]第三脳室脈絡組織・第三脳室脈絡叢と側脳室脈絡叢
間脳と側脳室を通る前額断面図。半模式図(2倍拡大)。
*cr.*大脳脚;v. III第三脳室;*v. l.*側脳室;r脳弓(f)の上面と脳梁(c, a.)の下面の間にある側脳室の陥凹;*n. c.*尾状核;st. t.分界条。脳弓の外側稜cから、側脳室脈絡叢(ch. l.)を持つ軟膜葉が橋渡ししてaに向かい付着板の縁に達している。この部分、および脳弓の下面と視床・第三脳室の上面にある軟膜葉は点線で表している。脈絡叢の上皮は鋸の歯のような多くの凹凸を持つ線で模式的に示す。上下の両軟膜葉の間には、緩いクモ膜下組織(sa.)と2本の内大脳静脈(v. v)の横断面が存在する。*ch. m.*第三脳室脈絡叢。