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図433(**脳,前額断面IV:**後交連の直前で切断し、後方の切断面を前方からの図)
脳弓は対をなし、背方に凸の弓を描いて走り、乳頭体から海馬傍回鈎に達する。これら2箇所は脳弓の両支点とみなせる(図437(左大脳半球の内側面)、図440(脳弓、海馬脚、前交連) )。
脳弓は隠れた部分(verborgener Teil)と露出した部分(freier Teil)からなる。後者は脳弓柱(Columna fornicis)として始まる。隠れた部分、すなわち脳弓柱没部(Pars tecta columnae fornicis)(図410(脳の正中断面の一部を拡大したもの) )は第三脳室の底と側壁内にあり、同側の乳頭体に達する。露出した部分は前交連のすぐ後ろで始まり、脳弓柱出部(Pars libera columnae fornicis)として第三脳室の側壁から上行する。これは室間孔(Foramen interventriculare)を前方から境し、前下方に開いた弓を形成して大脳半球内側面の凹んだ内側縁全長を円蓋状に走り、側頭葉前端に達する。その経過の前部と後部では左右の脳弓が互いに離れているが(図416(側脳室と第三脳室脈絡組織)、図428(中脳、間脳および尾状核の上方からの図) )、中央部では脳梁下面の下で密接しており、ここで脳弓体(Corpus fornicis)を形成する。さらに後方では脳弓体の左右両半が再び離れ、脳弓脚(Crura fornicis)と呼ばれる。脳弓脚は視床枕の後ろで曲がり側脳室の下角に達し、一部は海馬足に移行し、一部は海馬采(Fimbria hippocampi)となる(図423(側脳室の側頭部と後頭角) )。この海馬采は海馬足と結合し、これに伴って下角内を進み海馬傍回鈎に達する(図435(左半球の歯状回と鈎小帯) )。
脳弓体は第三脳室脈絡組織の上に位置する。その外側縁、すなわち脳弓ヒモ(Taenia fornicis)は側脳室脈絡叢と結合し、采ヒモ(Taenia fimbriae)に続く。
側方は左右の脳弓脚によって境され、その間に主に横走する線維からなる薄い髄板が張られ、これが脳梁の下面を覆う。この髄板はしばしば脳梁と完全に癒合せず、ヴェルガ腔(Vergasche Höhle)という小さな裂隙(Spaltraum)によって隔てられている。
両側の脳弓柱は卵円形の横断面をもち、脳弓体は三角形、脳弓脚は扁平である(図428(中脳、間脳および尾状核の上方からの図)、図431(脳、前額断面II:前交連を通る断面)、図432(脳、前額断面III:中間質を通る切断面) )。
脳弓柱出部の長さは海馬采の前端まで測ると約9cmである。
脳弓の根としてヴィック・ダジール束(Vicq d'Azyrsches Bündel)、すなわち乳頭視床束(Fasciculus mamillothalamicus)(図410(脳の正中断面の一部を拡大したもの)、図440(脳弓、海馬脚、前交連) )が視床前結節に達している。