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目次(III. 脈管系)

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大腿動脈は外腸骨動脈の直接の延長で、鼠径靱帯から大腿遠位1/3にある内転筋管裂孔までを走行する(RK673(大腿動脈とその枝(I)))。その全体的な経路は、鼠径靱帯の中点から大腿骨内側顆へと向かう。

局所解剖:大腿動脈は全長が3つの部分に分けられる。近位部は大腿筋膜下で、縫工筋と長内転筋の間にある大腿三角(Trigonum femorale)に位置する。より詳細には、大腿三角内の腸腰筋と恥骨筋の間にある腸恥窩(Fossa iliopectinea)という陥凹部に存在する。ここでは動脈の拍動を容易に触知でき、また骨に向かって圧迫することも可能である。血管裂孔(Lacuna vasorum)における動脈の位置については489頁およびRK591(大腿輪の模型図)を参照されたい。

大腿三角の下端で動脈の中部が始まる。ここでは縫工筋が動脈の前面を覆い、以降ほぼ全長にわたってこれを被覆する。最初は皮膚、皮下組織、リンパ節、大腿筋膜のみが動脈を覆い、大腿血管鞘(Vagina vasorum femoralium)が包んでいるが、より遠位では動脈はより深部に位置し、保護された状態となる。ここでは縫工筋に加え、広筋内転筋板(Lamina vastoadductoria)もその上に位置する。

遠位部、すなわち第3の部分では、大腿動脈は縫工筋の外側に位置し、前述の内転筋管の約5cmの線維性延長部内を走行する。この管の延長部は大内転筋腱と内側広筋腱の間にあり、両筋間を連ねる線維性の帯によって前面が閉じられている。管の下端で大腿動脈は内転筋管裂孔を通過し大内転筋腱の後方に至り、その後大腿骨後面の膝窩(Fossa poplitea)上角に位置する。内転筋管には上下の開口部があり、両者とも出入りする血管によって閉じられている(内転筋管については446頁参照)。

大腿動脈は以下の諸器官に接触または重なっている。近位から順に、まず腰筋に接し、次いで恥骨筋の前面に至る。この筋とは大腿深動静脈によって隔てられている。その後、長内転筋の前面を進み、最後に大内転筋腱の上を通過する。遠位部では動脈の外側に内側広筋があり、この筋は大腿動脈と大腿骨の間に介在する(RK673(大腿動脈とその枝(I)))。鼠径下窩では、この動脈は骨盤前縁を出た後、大腿骨頭と股関節の前面に位置する。また動脈の下部は大腿骨内側に密接しているが、その間では全体として骨から離れており、部分的にはその距離が大きくなっている。

大腿静脈は大腿動脈に密接しており、両者は大腿血管鞘に包まれ、その間には薄い隔壁があるのみである。大腿骨上部では静脈は動脈の内側にあり、それより遠位では動脈の後方に位置する。膝窩の直近では、静脈は動脈の外側後方に位置する。

大腿神経は当初、大腿動脈の外側に位置し、その間を腸骨筋膜が境している。より遠位では、大腿動脈は伏在神経をその前壁に伴いながら、ほぼ内転筋管の下端まで走行する。

大腿動脈は多数の枝を分岐しており、その一部は前腹壁と外陰部に分布するが、大部分は大腿部で下方は膝に至るまでの領域に分布している。

**神経:**この動脈は大腿動脈神経叢を伴っている。

この神経叢には大腿神経の大腿動脈神経(N. arteriae femoralis)と陰部大腿神経(N. genitofemoris)の大腿枝が寄与している。さらに大腿深動脈の起始部の高さでは3本の枝が大腿神経あるいは伏在神経(N. saphenus)から来ており、また大腿中央部では伏在神経から1本の小枝が加わる。

1. 浅腹壁動脈 Arteria epigastrica superficialis

2. 浅腸骨回旋動脈 Arteria circumflexa ilium superficialis

3. 鼡径枝Rami inguinales

4. 外陰部動脈 Arteriae pudendales externae

5. 大腿深動脈 Arteria profunda femoris

6. 筋枝 Rami musculares

7. 下行膝動脈 Arteria genus descendens