皮膚小溝 Sulci cutis

皮膚小溝(Sulci cutis)は、皮膚の表面に見られる線状または網目状の陥凹構造です(Gray and Williams, 1989)。これらは表皮と真皮の境界面に対応しており、皮膚の柔軟性や伸縮性に寄与しています。皮膚小溝の間には皮膚小稜(Cristae cutis)が存在し、これらが皮膚の表面パターンを形成しています(McGrath et al., 2017)。

解剖学的特徴

解剖学的には、皮膚小溝は表皮の基底層が真皮乳頭に入り込む部分に相当し、真皮の結合組織が表皮方向に突出する領域です(Kanitakis, 2002)。この構造により表皮と真皮の接触面積が増大し、両者の結合が強化されています。

部位別パターン

皮膚小溝は身体の部位によって特徴的なパターンを示します。手掌や足底では皮膚紋理(皮膚隆線、Dermatoglyphics)として顕著に現れ、指紋や掌紋を形成します(Cummins and Midlo, 1961)。これらは個人識別に利用される固有のパターンです。一方、関節部では屈曲線(屈筋皺襞)として大きな皮膚溝が形成されます。

臨床的意義

臨床的には、皮膚小溝のパターン異常は遺伝疾患や発達障害の診断に役立つことがあります(Penrose, 1968)。また、皮膚小溝は皮膚の水分保持や触覚受容にも関与しており、加齢や環境要因による変化は皮膚機能の低下に関連します(Montagna et al., 1992)。皮膚科診断においても皮膚小溝の変化(消失や過剰形成など)は重要な所見となります(Itin and Fistarol, 2005)。

参考文献

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J1075 (足底の皮膚の隆起部と乳頭)

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J1076 (足底の表皮乳頭)

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J1077 (右指の掌側表面の皮膚の隆起と溝)

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J1078 (右指の掌側表面の皮膚の隆起と溝)