1078 (右指の掌側表面の皮膚の隆起と溝)

J1078 (右指の掌側表面の皮膚の隆起と溝)
これは印象から得られました。図J1077 (右指の掌側表面の皮膚の隆起と溝)の遠位部分は4倍に拡大されました。
図の要点(J1078:右指の掌側表面の皮膚の隆起と溝)
- 指先の表面に見える黒い線は「皮膚小稜(クリスタ)」が作る隆起で、白い細線が「皮膚小溝(スルクス)」です。両者の並走と分岐・合流のパターンが「指紋」を構成します。
- 小稜の頂部には点状の孔が散在し、これは汗腺の開口(汗孔)です。汗がここから分泌され、把持時のすべり止めや皮膚表面の温度調節に寄与します。
- 左側の全指像には、関節部に横走する深い「関節の折り目ジワ(掌側皮線)」が示されています。これは表在の指紋パターンとは別で、屈曲時の皮膚の余裕を生む構造です。
- 右側拡大像は遠位(指先側)を4倍に拡大したもので、隆起と溝の走行変化が詳細に見えます。
図中アノテーションの対応
- 01 皮膚小稜(Cristae cutis):指紋の「隆起」部分。表皮突起と真皮乳頭の配列が基盤となります。
- 02 汗孔(Pore of sweat gland):エクリン汗腺の開口。小稜の頂部に開くことが多い。
- 03 皮膚小溝(Sulci cutis):隆起を区切る浅い溝。パターンの境界や分岐点を形成します。
機能的意義の要約
- 摩擦増強:微細な隆起と汗の薄膜により、濡れた物体でも把持性を高めます。
- 触覚の微細化:パターンにより振動が増幅され、メルケル細胞など触覚受容器の感度が向上します。
- 個体識別:胎生期に形成され生涯不変のため、個人識別の指標になります。
補足:本図は「印象(インク押捺)」から得られた像で、遠位部の拡大により汗孔の点状パターンが強調されています。
アノテーション