ツチ骨 Malleus

J1034 (右の鼓膜とツチ骨、および鼓索神経:内側から後上方の図)

J1035 (右の鼓膜、ツチ骨とキヌタ骨:内側から後上方からの図)

J1036 (右のツチ骨:前面からの図)

J1037 (右のツチ骨:後方からの図)
ツチ骨(槌骨)は、中耳腔に位置する3つの耳小骨(ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨)のうち最大かつ最外側のものである(Standring, 2020)。以下に解剖学的構造と臨床的意義を詳述する。
1. 解剖学的構造
1.1 形態学的特徴
ツチ骨の基本的な形態学的特徴は以下の通りである:
- 長さ:約8-9mm、重量:約25mg(Drake et al., 2019)
- 位置:中耳腔の上部に位置し、鼓膜と直接接触する(Standring, 2020)
- 骨化:胎生期の早期(16週頃)から骨化が始まる(Moore et al., 2018)
1.2 構成部分
ツチ骨は5つの主要部分から構成される(Netter, 2018):
- ツチ骨頭(Caput mallei):丸みを帯びた上部で、後内側面にキヌタ骨との関節面を有する(Standring, 2020)
- ツチ骨頚(Collum mallei):頭部の下の狭窄部で、直径約0.7mmの細い部分を形成する(Anson and Donaldson, 2017)
- ツチ骨柄(Manubrium mallei):約4.5mmの長さを持ち、鼓膜の内側に埋め込まれている(Drake et al., 2019)
- 前突起(Processus anterior):約1mmの細長い突起で、鼓室前壁に靭帯で付着する(Netter, 2018)
- 外側突起(Processus lateralis):柄の基部から外側に突出し、鼓膜の緊張部に付着する(Netter, 2018)
1.3 支持構造
ツチ骨の支持構造には以下が含まれる:
- 靭帯:上ツチ骨靭帯、前ツチ骨靭帯、外側ツチ骨靭帯によりツチ骨が中耳腔内に固定される(Anson and Donaldson, 2017)
- 筋肉:ツチ骨筋(tensor tympani)がツチ骨柄に付着し、鼓膜の緊張を調節する機能を有する(Schuenke et al., 2016)