男性生殖器 Systema genitale masculinum
男性生殖器系は陰茎・陰嚢から精巣・精巣上体・精管・精嚢・前立腺・尿道までの外性器・内性器で構成され、各部位は解剖学的層構造、血管・神経供給、そして精子生成・輸送・射精に関与する機能を持つ。解剖的特徴は精巣の被膜層、血管系(精巣動脈・精索静脈瘤)、リンパ流、神経支配(陰部大腿神経・陰部神経)に細分化され、臨床的には精巣捻転、精索静脈瘤、前立腺肥大・癌などの診断・治療で重要となる。画像診断(超音波、MRI)と外科的介入(整復・固定、TURP、前立腺癌手術等)が主要な管理策である。

J0777 (精巣鞘膜(臓側板)を開いた後の右の精巣と精巣上体:外側からの図)
J0778 (精巣鞘膜の壁側板を開いた後の右の精巣と精巣上体:内側からの図)

J0779 (右の精巣と精巣上体:矢状断面)
J0780 (右の精巣と精巣上体:横断面)

J0781 (右精巣と精巣上体:側面からの図)
J0782 (右の精巣と精巣上体:側面からの図)

J0783 (開かれた陰嚢:前方からの図)

J0784 (前立腺と精嚢、精管:前上方からの図)

J0785 (射精管、前部および上部)

J0786 (左側の骨盤壁を除去した後の男性の骨盤臓器:左方からの図)

J0787 (男性の骨盤臓器の正中矢状断:左側からの右半分の図)

J0788 (陰茎、球海綿体筋および筋膜と皮膚の一部を除去:下方からの図)

J0789 (陰茎海綿体と尿生殖三角:下方からの図)

J0790 (陰茎の断面図:陰茎体の断面)

J0791 (陰茎の断面図:陰茎亀頭後部の断面)

J0792 (陰茎の断面図:陰茎亀頭の前部の断面)
1. 構成(外性器・内性器)と機能概要
- 外性器:陰茎(penis)、陰嚢(scrotum)。陰茎は性交における挿入と射精の通路を担い、陰嚢は精巣を体温より低い環境に保持して精子形成を支持する。(Standring, 2021)
- 内性器:精巣(testis)、精巣上体(epididymis)、精管(ductus deferens)、精嚢(seminal vesicle)、前立腺(prostate)、尿道(urethra)など。精巣で精子を産生し、精巣上体で成熟・貯蔵、精管で輸送し、付属腺(精嚢・前立腺など)の分泌液が加わって精液を形成する。(Moore et al., 2023)
2. 精巣と陰嚢:被膜・層構造・血管神経
2.1 被膜と層構造(浅層→深層)
- 皮膚 → 肉様膜(dartos fascia)(平滑筋を含む)→ 外精筋膜 → 挙睾筋(cremaster)と挙睾筋膜 → 内精筋膜 → 精巣鞘膜(tunica vaginalis)(壁側板/臓側板)→ 白膜(tunica albuginea)。(Standring, 2021)
- 精巣鞘膜は腹膜の遺残(processus vaginalis)に由来し、臨床的には陰嚢水腫や停留精巣・鼠径ヘルニアとの関連が重要である。(Moore et al., 2023)
2.2 血管・リンパ
- 主幹動脈は精巣動脈(a. testicularis;腹大動脈から分岐)。精巣静脈は蔓状静脈叢(pampiniform plexus)を形成し、右は下大静脈へ、左は左腎静脈へ注ぐ。(Standring, 2021)
- 精索静脈瘤は左に多く、左腎静脈の圧上昇(いわゆるnutcracker現象など)や解剖学的流入角度が関与しうる。(Standring, 2021)
- リンパは主に腰(傍大動脈)リンパ節へ。陰嚢皮膚は浅鼠径リンパ節に流れるため、精巣腫瘍と陰嚢皮膚病変で転移先が異なる。(Moore et al., 2023)
2.3 神経
- 体性知覚:陰嚢前部は主に陰部大腿神経(genitofemoral)陰部枝、会陰・陰嚢後部は**陰部神経(pudendal)**などが関与する。自律神経は精巣血管周囲の神経叢を介する。(Standring, 2021)
3. 精巣上体・精管・精嚢:輸送路と射精管
- 精巣上体(頭・体・尾)は精子の成熟と貯蔵に重要で、尾部から精管へ連続する。(Standring, 2021)
- 精管は精索内を上行し、鼠径管を通過して骨盤内へ入り、膀胱後面で膨大部を形成し、精嚢管と合流して**射精管(ductus ejaculatorius)**となり、前立腺部尿道に開口する。(Moore et al., 2023)
4. 前立腺・尿道:区分と臨床的ランドマーク