総胆管;胆管

総胆管は、肝管と胆嚢管が合流する点から十二指腸下行部の内側面に至る、長さ6~8cmの管です。肝十二指腸間膜内を通り、肝固有動脈と門脈と共に存在します。膵頭部近くで終わり、膵管と合流します。膵頭癌によって総胆管が圧迫され、黄疸が引き起こされるのは、この局所解剖学的関係に由来します。

総胆管は、膵管と合流する部分で胆膵管膨大部を形成し、大十二指腸乳頭から十二指腸に開口します。総胆管の内側は単層円柱上皮で覆われ、固有層には小さな胆管粘液腺が存在します。

筋層は内輪筋と外斜筋から構成され、総胆管の下部では特に輪走筋が発達し、これを総胆管の括約筋と呼びます。さらに、胆膵管膨大部には胆嚢管膨大部括約筋が発達し、この筋はオッディーの括約筋として知られています。

消化管ホルモンや神経の作用により、胆汁と膵液の放出を調節します。

日本人のからだ(村上 弦 2000)によると

末梢では、肝内胆管が門脈枝と肝動脈枝とともにトライアッドを形成しますが、肝門部では独自の分岐形態を示します。木田ら(1987)は、解剖体104例の胆管所見から、右葉と左葉の胆管の分岐型をそれぞれ4型に分類しました(図71, 72)。

肝内胆管については、新井ら(1977)による85体の鋳型標本による調査があります(図73)。

肝内胆管の変異型と区域門脈枝との関連についての統計的研究はほとんど行われていません。また、区域胆管が独立して総胆管に流入する例を(広義の)異所性肝管と呼び、その手術上の重要性からよく研究されています。

最近では、石山ら(1997)は尾状葉胆管枝の検討を行い、後区域に隣接した傍下大静脈背外側部という独立した領域の存在を提唱しています。

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図71 総肝管および右葉肝内胆管の分岐型(木田ら, 1987)

図71 総肝管および右葉肝内胆管の分岐型

肝門部の胆管分岐を前から見た模式図。肝内胆管後区域枝は矢印で示されています。

A: 左肝管と右肝管前枝が合流し、総肝管を形成します。右肝管後枝は十二指腸側で総肝管に合流します。両合流部の距離は最長で20mmになります(8.7%)。

B: 左肝管、右肝管の前枝・後枝の3本が合流し、総肝管を形成します(11.5%)。この場合、大部分では右肝管後枝が中央(背頭側)に位置します。稀に右肝管前枝が中央に位置すると、その右肝管前枝は門脈前区域枝の腹側を走行します。

C: 右肝管の前枝・後枝が共同幹を作る標準型(71.2%)。共同幹の最長は27mmです。門脈前区域枝との位置関係や区域枝分岐型については多くの変異があります。

D: 左肝管に右肝管後枝が合流し、総肝管を形成します(8.7%)。