犬歯 Dentes caninus

J0111 (19cm長胎児(5ヶ月の初め)の口蓋:下方からの図)

J0641 (永久歯:唇または頬側からの図)

J0642 (永久歯:舌側からの図)

J0643 (右側上顎の永久歯:接触表面; 側面からの前歯、後部からの後歯)

J0646 (3〜4歳の子供の乳歯が付いた下顎骨)

J0647 (3〜4歳の子供の乳歯が付いた上顎骨)

J0648 (約5歳小児の顔の骨、乳歯と永久歯の露出した構造、右側から少し前方からの図)

J0649 (下顎の永久歯:上方からの図)

J0650 (上顎の永久歯および口蓋の粘膜、下方からの図)

J0651 (永久歯列:右側からの図)

J0653 (新生児の顔の骨格と露出した歯の区画:右側からやや正面の図)
犬歯は、歯列における重要な構成要素であり、解剖学的および機能的に独特な特徴を持っています(Berkovitz et al., 2017)。以下に、解剖学的特徴と臨床的意義を詳細に記述します。
1. 解剖学的特徴
1.1 位置と配置
- 歯列における位置:犬歯は歯列弓の第三位に位置し、中切歯(第一切歯)と側切歯(第二切歯)の後方、第一小臼歯の前方に存在します(Fehrenbach and Popowics, 2015)。
- 歯列弓の角:上顎犬歯は歯列弓の角(canine eminence)に位置し、顔面の輪郭形成に重要な役割を果たしています。この位置により、顔面の表情や審美性に大きく影響を与えています(Scheid and Weiss, 2017)。
- 歯槽骨との関係:犬歯は歯槽骨内で最も深く埋入しており、特に上顎犬歯の歯根尖は梨状口の外側縁近くまで達します(Standring, 2020)。
1.2 形態学的特徴
- 歯冠の形態:単根歯で、歯冠は尖った円錐形(キバ状、cuspid)を呈します。切縁は鋭利な単一の咬頭を形成し、食物の把持と引き裂きに適した形状をしています(Nelson and Ash, 2010)。
- 唇側面:凸状を呈し、近遠心的に狭い形態をとります。中央には明瞭な縦隆線が存在し、歯冠の豊隆部を形成しています(Bath-Balogh and Fehrenbach, 2011)。
- 舌側面:舌側面には舌側隆線(lingual ridge)が存在し、近心辺縁隆線と遠心辺縁隆線によって境界されています。舌側窩は浅く、切歯に比べて発達が弱い傾向にあります(Scheid and Weiss, 2017)。
- 近遠心面:近心面はやや平坦で、遠心面よりも短い傾向があります。接触点は近心が切縁に近く、遠心は中央部に位置します(Nelson and Ash, 2010)。
1.3 歯根の解剖学
- 歯根の長さ:犬歯は歯列内で最も長い歯根を持ち、その長さは約17mm(上顎)から15-16mm(下顎)に達します(Scheid and Weiss, 2017)。この長大な歯根により、強固な骨支持と安定性が得られます。
- 歯根の形状:単一の円錐形歯根で、横断面は卵円形を呈します。歯根の唇側面は凸状、舌側面はやや平坦です(Berkovitz et al., 2017)。
- 根尖孔:歯根尖端に位置し、神経血管束の出入り口となります。根尖周囲には歯根膜が豊富に存在し、機械的受容器として機能します(Liebgott, 2018)。
1.4 組織学的構造
- エナメル質:歯冠表面を覆う人体で最も硬い組織で、厚さは切縁部で最大(約2.5mm)となります。無機質(主にハイドロキシアパタイト)が約96%を占めます(Bath-Balogh and Fehrenbach, 2011)。
- 象牙質:エナメル質の内側に位置し、歯の大部分を構成します。象牙細管が放射状に配列し、知覚伝達に関与します。エナメル質より柔軟性があり、破折を防ぐ役割を果たします(Berkovitz et al., 2017)。