足底方形筋

足底方形筋は短趾屈筋に覆われています。内側頭は踵骨隆起の内側突起の前の凹面から、外側頭は踵骨隆起の外側突起の前から起始し、長足底靱帯を隔てます。2つの頭は長足底靱帯の底面で合流し、長方形の扁平な筋になって前へ進み、長趾屈筋の腱の外側縁から底側と背側の両面に停止します。小成(1960)の調査によれば、102側中23側で本筋の起始と筋腹に何らかの異常が認められたとのことです。その内容は、外側頭または内側頭が短いもの(12例)、長底側靱帯の中央から起始する中関頭が存在するもの(5例)、外側頭が二分するもの(2例)、異常に外側頭の幅が広いもの(1例)、外側頭または内側頭が欠如するもの(2例)、下腿屈筋浅層と深層の間に存在する筋膜(深下腿筋膜)から起始する副束が存在するもの(1例)です。この調査では観察されませんでしたが、正常な足底方形筋が欠如し、この副束が代償することもあると言われています。また、停止部で筋線維が長趾屈筋腱の形成に加わる例は、底側では102側中23側で認められ、小趾側の趾腱に加わる頻度が高く、背側では102側中47側で認められ、第3および第4趾腱への参加が主流で、第2趾と第5趾への参加はこの順で減少します。外側足底神経により支配されます。手には足底方形筋に相当する筋は存在しません。

日本人のからだ(堀口正治 2000)によると

足底の筋 (図64)

母趾球筋(母趾外転筋、短母趾屈筋、母趾内転筋)、小趾球筋(小趾外転筋、短小趾屈筋、小趾外転筋)、そして中足筋(短趾屈筋、足底方形筋、虫様筋、底側骨間筋・背側骨間筋)に分けられます。中足筋では、対応する手の中手筋とは異なり、短趾屈筋と足底方形筋が追加で存在します。短趾屈筋は上肢の浅趾屈筋に相当しますが、足底方形筋に相当する上肢の筋は存在しません。また、小趾球筋では、手の短掌筋に相当する筋は存在しません。

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図64 足底の筋を底側からみたところ(右側)

図64 足底の筋を底側からみたところ(右側)

A:浅層(足底腱膜を除く状態)、B:浅層(短趾屈筋を除く状態)、C:深層(母趾および小趾外転筋、長母趾および長趾屈筋腱と足底方形筋を除く状態)。Abh:母趾外転筋、Adm:小趾外転筋、Ap:足底腱膜、C:踵骨、CI(Qp):外側頭(足底方形筋)、Cm(Qp):内側頭(足底方形筋)、Co(Adh):斜頭(母趾内転筋)、Ct(Adh):横頭(母趾内転筋)、Fdb:短趾屈筋、Fdl:長趾屈筋、Fdmb:短小趾屈筋、Fhl:長母趾屈筋、Id:背側骨間筋、lp:底側骨間筋、L:虫様筋、Lpl:長足底靭帯、Odm:小趾対立筋、Os(Pel):立方骨粗面と関節する長腓骨筋停止腱の種子骨、Peb:短腓骨筋、Pel:長腓骨筋、Qp:足底方形筋、Tp:後脛骨筋、VI(Fhb):外側腹(短母趾屈筋)、Vm(Fhb):内側腹(短母趾屈筋)